まだ・・・持続という事だ。
彼への不安の。
手袋あってのそれでもまだどこか緊張して体ごと動かなくなる。
緊張して心拍が上がって心が怯みそうになる。
それでも・・・確かにこの時間の始まりよりは緩和している自分の症状。
「・・・・・辛そうだけど・・・・そうでもない」
「・・・・・・はぁっ!?」
不意に入り込んだ彼の声に思わず緊張も解けて馬鹿っぽい感情のままの反応。
そんな私に満足げにクスクスと笑う男がようやくその手を引き戻して、一瞬考え込むように私に触れた手を見つめた。
直後、目の前でゆっくりと外された黒革の手袋。
何のつもりか、次の瞬間には自分に伸ばされた指先にさすがに怯んで身を引いた。
でも、
引かなくても触れなかった。
そう分かる、私の現状を確かめるように彼がした行動。
素手であっても私に触れることが可能か否か。
でも、私は見事逃げ出して身を引き怯んだ眼差しを彼に向けた結果になった。
まだ・・・さすがに無理だ。
暴れる心臓がそれを物語っている。
「・・・・・まぁ、そうだよね。・・・ここまでいったら・・俺も驚く」
どうやら想定内だったらしい彼が小さく口元に弧を描いて手袋を装着していく。
キュッとしっかりその手を覆うと悪びれもせずに私に微笑んでスッとその身を近づけかがんだ。
一瞬酷く緊張した。
身構えるように硬直して言葉を失い目を見開いて。
でも懸念したような事態は起きず、私の顔の横をスッと過ぎた顔と代わりに耳元に寄った唇。
かかる息にドキリとして、恐いのか嬉しいのか・・・。
そして吹き込まれた声音。
「・・・・・すぐに触りたくなるよ」
「・・っ・・・」
「こんな手袋とか・・・邪魔に感じる。・・・・サングラスも、フードも・・・・お互いを邪魔するもの全部・・・」
「・・・・・自信・・・過剰・・・・」
「そんな俺が・・・・好きだったでしょ?」
好きだったわよ。
大好きだったわよ。
悔しいかな・・・・、ムカつくと思っていたそんな自信過剰な姿に今もこうして苦しむほど好意を持っていた。
言わないけど・・・ね。
「・・・・・もう、会いに来ないでください」
揺れることなく響かせた言葉に耳元で彼が小さく笑った。



