ようやく明確になった彼の顔と見事なグリーンアイに色々な感情がこみ上げて苦しい。
強烈なのは悲哀。
それでも対抗するようにまだ消えぬ熱情もある。
嬉しいのか悲しいのか、判断つきにくい葛藤に苛まれたままそれでも挑むようにグリーンアイを見つめた。
「・・・・・離れたのは・・・・正解だったね」
「・・・・・」
「何だかんだで・・・・千麻ちゃんは回復してる。怯えて近づいたけど・・・・動揺しつつも順応してるじゃない。今日再会してこの数十分の内で・・・・なんだかんだで千麻ちゃんは俺の存在を許して警戒を解いていってる」
「・・・・もう一発・・・殴り飛ばしましょうか?」
「喜んでお受けするよ?それすらも俺たちの関係のリハビリだしね」
「・・・・・リハビリって・・・・・そういう事!?」
「だって、俺の身にもなってよ~?千麻ちゃんとエッチしてから完全に開発されちゃって・・・、千麻ちゃんにしか反応しない」
「・・・・・すみません。仕事があるので」
「えっ、いきなり全力でスルー?!」
もう話にならないと脳内が判断。
そう、馬鹿、この男は馬鹿なんだ、馬鹿になってしまったんだ。と逃げ出すように椅子に座ってクルリとパソコンにその身を向けたのに、回転する椅子はそのまま一回転してまた彼と対峙。
どこかいじけた表情の彼と。
「千麻ちゃん、まだ大切な話の途中でしょ?」
「別れた夫の性生活の悩みまでは私の管理範囲外ですから」
「千麻ちゃんがそうさせたんじゃん!?」
「・・・・わかりました。責任をもって・・・」
「おっ、嘘っ、受け入れてくれる?」
「私に似せたその手の人形特注で発送して差し上げますから。・・・・かなり不本意で嫌悪の対象ですが」
「千麻ちゃん・・・・・・・、そんなに俺との接触は嫌ですか?」
目の前で分かりやすく項垂れる姿を目を細め呆れて見つめる。
いや、無茶ブリしてるのはそっちだろうと、深く溜め息をつくと鞄に手を伸ばした。
そして膝に乗せると中に手を突っ込んで目的の物を探し出す。
その様子を『なんだ?なんだ?』と見つめている彼を時々視線で確認して、無言のまま握りしめた物を取り出すとそれを開封して中身を唇に押し付ける。
殺菌効果のウェットティッシュを。
キュッとしっかり唇を拭いて確かめるように視線を上げれば、唖然とした彼の表情が見事不満げに切り替わった。



