「・・っーーーやっぱ・・・・あはは、強烈~」
ようやくその身を起こした彼が赤くなった頬を摩りながら私を捉えて困ったように笑って見せる。
でも全然怒っているような反応はなくてむしろ・・・・・喜んでる?
若干目が恍惚としていて恐い。
「・・・っとに・・・、もう何の関係もないんですからストーカーで訴えますよ!?」
「うん、残念。そこは『セクハラです』って言ってほしかったぁ」
「・・・何期待に満ちた目でほくそ笑んでるんですか?気持ち悪い・・・」
「いや、千麻ちゃんにどMに教育されてた俺としては久々な女王様の言葉や鞭にドキドキしてるっていうか・・・・、ぶっちゃけ興奮?」
「・・・・・・真剣に迷います。警察か、精神病棟へ電話するか」
「ああ、いいね。らしくなってきたじゃない切り返し~。やっぱりリハビリするべきだね」
「だから・・・・何なんですか!?そのリハビリって!!」
結局同じ疑問に戻された事に、その本題であろう部分に触れない限り彼は私を精神崩壊しても逃がしてくれないだろうと触れてみる。
まだ・・・掌が痛い。
思わず自ら接触させた手が。
軽く震えてもいるのに・・・・おかしい。
思った程体が硬直しない。
そんな自分の違和感に気がつき始め疑問を浮上させていれば、意識を引き戻す彼のようやくの返答が耳に入り込む。
「・・・・・俺はね・・・自分の惚れ込んだものを手放すような男じゃない」
「・・・・・芹さんは・・・例外ですか?」
「相変わらず揚げ足取るね。でも・・・そこが好き」
『好き』とあっさり口にしてニッと笑う姿に悔しくて眉根が寄る。
どうしてこの人はあんな過去があってもこうして変わらず私の前に現れるのか。
止めてほしい。
簡単に言わないで。
何事もなかったかのように『好き』だなんて軽はずみにも言わないでほしい。
「相手が・・・物質的な物だったら有無を言わさずだけど。・・・・人間には感情がある。良くも悪くも熱しやすく冷めやすい・・・安定しない常に揺れ動く・・・ね」
「・・・・だから・・・私達も別れているんです」
「そうかな?・・・・・・俺たちが離れていたのは・・・本当に望んで?」
「・・・今更・・・何を?」
「・・・・あの時は・・・ああするしか選択肢がなかった。別れるしか・・・千麻ちゃんの精神状態が持たなかった。だから・・・・・望んでいなくても・・・離した」
「・・・・おかげで・・・・私は元気でした。・・・・今日までは」
しまった。
サングラスの無いグリーンアイはまだその力が強すぎると身に染みた。



