なんとかこうして対面してみてもどうだ?
お互いに気を使って、厳重に防御しながらの不自然な逢瀬。
会って話しても言葉を選んで、触れ合う事すら叶わない。
確かに、彼の装いは正解。
こうして私とは薄い一膜挟んで一歩身を引いたような接近だから私も多少警戒を解いてこの場にいられるのだ。
でも・・・馬鹿馬鹿しい。
何て茶番だろう。
「・・・・・・もう、話すことはないです。新たに刻む記憶もいらない」
「・・・・・本当に?」
「分かりませんか?・・・今だってこうして震えて、さっき接触した事でまだ体が上手く動かない。
あなたが言った通り・・・アレルギーなんです。・・・あなたに対して」
「・・・・・じゃあ、もう会いたくない?」
「・・・・・会いたくない」
「寂しくない?」
「まったく」
「触りたくない?」
「まず、会いたくないって言ってるじゃないですか!?質問が可笑しな堂々巡りにーーーっーーー」
冷たい。
まず、そう感じた頬。
無機質の何かが触れて、馴染みのない違和感が邪魔だと感じて。
でもすぐに掻き消すような感触。
カツン、と頭の後ろのクリップがカウンターテーブルが対面しているガラスにぶつかり、のけぞった腰が激しく痛い。
彼の手がぶつかったのか、私のカップが倒れて中の冷たくなっている液体が静かに広がり床に落ちていく。
スローモーションのようにそれを捉えて、非現実的な感覚に浸食されそうになる。
でもひどく懐かしく、恋しく、・・・・でも、不安の行為。
やっと感じた彼自身のぬくもり。
唇に与えられたキス。
顔の密度が増せば僅かにずれるサングラス。
ただでさえ違和感のそれが不自然に動けば意識がそこに走って、そして絡む。
それを待っていたかのように悪戯なグリーンアイと。
相変わらず綺麗な色味で人を翻弄する。
でも・・・・、
ふざけんな!!
と、思った瞬間には胸を押し返し、次いで店中に響く肌の接触音。
・・・と、床に落ちたサングラスの音。
手が・・・・痛い。
じりじりとした掌を震えながら引っ込め、目の前で頬を抑えて体を折り曲げている彼を睨みつける。
ああ、こんなに心臓を苛酷に働かせ呼吸を乱していたら、今日だけで寿命の半分は減っているんじゃないかと思うほど。



