ーーーNext Morningーーー
普段であるなら時間に厳しく正確に起きる朝。
それでも週に2日ある休みは別だ。
この日ばかりは時間の概念を忘れ陽が多少高くなってもベッドのぬくもりにその身を預ける。
しかしもう仮にも奥様。
本来であるなら早々に起きて完璧な朝食を作り彼が起きるのを待つべきなのだろう。
でもそれをしないのは、彼も私同様休日の朝は自分の欲望のままにベッドに身を預け簡単には起きないからだ。
だから結局私の方が早く目覚める朝になる。
今ももう充分だとゆっくりと目蓋を開けていけば、すでに明確に映る部屋の明るさ。
時計を確認すれば9時過ぎを示していて、ぼんやりとした頭で体を起こし乱れた髪をかきあげた。
瞬間。
「・・・・・何コレ?」
自分の指先への違和感に意識を走らせ捉えた赤に眉根を寄せた。
自分の小指に結ばれた細く赤いリボン。
どうやら長く繋がっているそれを怪訝な表情で摘まみ、何となく理解はしたけれど確かめるように辿って行けばつくのは彼の小指。
赤い糸?
いや、リボンか・・・。
多分夕べも私に翻弄された事への仕返しと『引くもんか』の意思表示。
乙女な悪戯・・・・。
しかしこんな小細工でときめく私でもないと理解しているでしょうに。
朝一番で溜め息をつけばそれを目ざましとしてゆっくり目蓋を開ける彼。
そしてぼんやりとそのグリーンに私を映すと幼い子供の様にふわりと微笑み一言。
「おはよう」
「・・・・・ハサミありますか?」
「・・・ああ、ははっ、朝一でいけず?」
「朝起きたら不吉なお告げの様な怨念の様な物が絡みついていたので・・・」
「運命だよハニー」
「運命論を語る様な男じゃないくせに」
「一瞬は信じた事もあったけどね」
あっ、
しまった。
珍しく私のミス。
彼の含みある一言にすぐに切り返せずに口を閉ざした瞬間に彼が小さく噴く。
勝ち誇ったように、でも少し寂しげに。
そして勢いをつけてその体を起こすとグッと上に体を伸ばし息を吐いた。
「運命なんて勝者の幸せに酔った恋愛観だよね」
「・・・・そうかもしれないですね」
「あれ?珍しい。俺の意見に賛同?」
「・・・・運命なんて物があれば私は多分別の人とこうして朝を共にしているかと?」
やっと【らしく】切り返せば苦笑いを浮かべ、しばらく自分の小指の赤をじっと見つめた彼。
何か思いふけるように。
【何】かじゃない、【誰】かが正解。



