「さすがさすが・・・有能な千麻ちゃん。確かにその努力の成果でこうして俺と対面してもまともに会話してる」
「・・・己惚れないでください」
「ん?俺の為じゃない。とかつれない事言っちゃう?」
「当然です。この9か月の努力はしいて言えば・・自分の為。自分の確立の為です。そしてあなたとの再会は私の今後に予定されている物ではなかった。
ーーーーーーーーー会う気なんて一切なかった」
本心を一言で言えば間違いない。
それでも私の結論のみの言葉は相変わらず人を傷つける物だと吐き出した後に自分で気がつく。
色々補足をすれば、また自分の反応で彼を傷つけないか?とか嫌いになりたくない。とか、好意からの拒絶であるのに結論の一言からはただの拒絶。
言ってすぐに捉えた彼の表情は読めなくて恐い。
サングラスに覆われているグリーンの揺れ方が分からないから、悲しんでいるのか怒っているのか分からないんだ。
自分の放った言葉に耐え切れず下を向く。
きつく目蓋を下して激しい動悸に苛まれる。
ああ、こうなるから。
再会したところでその傷痕が消えているわけでなく、こうして相手を傷つけあうような・・・過去の痛みを思い出すような事しか出来ないから・・・・・だから・・・。
「でも・・・」
「・・・・」
「そろそろ俺が恋しかったでしょ?」
「・・・・・・・一度、本気で耳鼻咽喉科に通院なさってください」
今までの話を本当に聞いていたのか?この男。
そんな風に眉根を寄せて睨み下ろすと、反する笑みを口元に浮かべてクスクスと響かせる彼。
困る困る困る・・・。
困る。
こんな些細な時間でさえ記憶に残る痛みになりそうで、新たに刻まれる彼の記憶が怖くて不安だ。
少し・・・・・眩暈。
さすがに急に過剰に接しすぎたと理解し片手で頭を支えてしまう。
背中も軽く丸めて、明らかに異常示す姿に彼の反応がない。
何を思っているのか。
沈黙だった間にそんな疑問を浮上させれば、まさにその時を計ったように耳に響いた少しもどかしい感じの声音。
「悔しい・・・・」
「・・・・」
本気でそう感じていると分かった。
悔しくてもどかしくて、
そんな響き。
その意味を探るように顔だけ僅かにあげ彼の姿をしっかりと捉える。
ああ、たぶん・・・・黒いガラスの奥のグリーンアイとぶつかった。



