Tittle 魔法使いの弟子より愛をこめて
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久しぶり。
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息が止まる。
それでも無意識に苦しくなって自分の呼吸を許していけば、漂うコーヒーの香りに混ざる別の匂い。
瞬時にそれが何なのか理解してしまう自分は凄いのか?
心臓がドクンドクンと強く跳ねて、耳の奥で鳴っている様に聞こえるそれを煩わしいと感じながら首からゆっくり背後を確認しようと体を捻り始めると。
「振り返らないで・・・・、画面を見て」
瞬時に泣きたくなる。
響いた声の懐かしいさと、恋しさと、悲しさと、切なさに。
そして彼の方から歯止めをかけた自分の行動。
振り返る前にピタリと止まって冷静になれば甘酸っぱいような物ではない動悸に満ちて視線を画面に戻していった。
それでも・・・・分かった。
声の響きやその大きさで。
叫ぶでもなく穏やかに弾かれた言葉は私の背後で背中合わせのソファーからだろう。
いつの間にこの席に座っていたのか?
仕事に集中している間・・・か。
自分でその答えを得て、それでも突如投げられた爆弾の大きさに動揺する。
一体何故?
彼の気配を背後に強く感じ、じわりじわりと浮かぶ不安な感情が体に力を入れていく。
無いとは思うけれど吐いたりしたらどうしよう。
そんな心配も浮上し始めたタイミング。
PCの画面に再度表示されるメールの着信。
この状況で送ってくるのは彼だろう。と理解して震える手でマウスを操作しカーソルを合わせる。
開くべきか・・・、一瞬そんな躊躇いを感じつつも意を決して新着のそれをカチリと開いた。
【声出してごめん。
あと・・・・ゆっくり息をして、
自分のペースで落ち着かせて。
それで、
可能であるなら、
千麻ちゃんが大丈夫って思えたら、
振り返って。】
可能であるなら?
もし・・・・駄目だと判断したら・・・、
顔も見ずに立ち去るつもりなの?
そんな疑問を感じながらも、記入された内容を読んだ直後からなんとか従うように息を整える自分は滑稽だ。
つまりは・・・・・私は彼と会いたいのか?



