夫婦ですが何か?




何度も疼く衝動を堪えて、彼女の真剣な姿を盗み見ては口の端を上げる。


完全にストーカーの域だと自分でも可笑しくて。


でも・・・何よりもうれしかった彼女の姿。




「・・・・・少し・・・予定外の事しちゃった」


「はぁ・・・、まぁ、茜ちゃんが我慢できるとは思ってなかったから驚かないけど。・・・何したの?」


「・・・・・触ってきた」



そう答えた瞬間に片手で頭を抱えた雛華が複雑な表情をして息を吐く。


我慢が足りないと言いたいんだろう?


でも・・・、


だって・・・、


嬉しくて仕方なくて。


思わず・・・・触れずにはいられなかった。





ねぇ、己惚れてみていい?





その髪・・・・、





俺の為に伸ばしてくれたの?





そう思ったら・・・我慢が出来なくて。


通り過ぎ様に小さく悪戯。


とても危険でリハビリそのものを始める機会も無くしてしまうような。


そんな危険を冒しても、はらりと指先で長くなった彼女の髪を触った。


当然驚いて髪を押さえた彼女を捉えて、まずいと思ってすぐに顔を背けて。


何事もなく入口に向かいながら含み笑い。


きっと驚いてる。


偶然の接触かと疑問に思って。


ねぇ、少し・・・、


もう少し・・・最後に・・・・この目に焼き付けていい?


そう思って振り返ってかけていたサングラスを軽く下げた。


そんな瞬間。


ほんの一瞬絡んだ視線。


すぐに危険予測で俺が逸らしたけれど、きっと彼女は捉えた筈。


でも一瞬だったから戸惑っている?


俺だったのではないか?と。


色々探って困惑して・・・・今この時間も俺の事を考えてる?


ああ、だとしたら・・・・本当は許されぬミス。


それでも・・・・本心は嬉しい。


俺の事を考えて。


思い出して。


どんな俺でも・・・・・千麻ちゃんの中で存在してほしい。


そして、


今日は様子見だよ。


リハビリを始められるかどうかの。




「で?本気で明日から行動するの?」



一人思い出したようににやけていれば、呆れた表情の雛華がビールを差し出しながら再度の確認。


その問いににっこりとと微笑むと肯定の意思。


するよ。


だって・・・・、あの姿を見て俄然やる気になった。



「俺・・・諦め悪い男なんだよ。欲しい物は・・・手に入る可能性が僅かでもある物は諦めない。・・・・・・・【あの子】の為にもね」



そう言って笑って見せれば雛華の同情的な微笑み。



「千麻ちゃんの運のつきは・・・・有能すぎて茜ちゃんの目に留まった事だね」



そ、あの時からさ・・・・俺の物なんだよ?


千麻ちゃん。


長いお休みはそろそろ返上してよね。