夫婦ですが何か?





また何か言葉に含みがあるのかと挑むように目を細めて見つめてみると、特に表情そのままの微笑みの唇が続きを弾いた。



「【元気だったか?】の問い」


「・・・ああ、」


「それに対する答えとして・・・・・」


「うん、」


「【元気だった】と【元気じゃなかった】・・・・どっちが千麻にとっては喜ばしい彼の姿?」


「・・・・・・・・」



ああ、


また・・・ミス。


即返できずに押し黙って、どちらが朗報か真剣に考え瞬きすら忘れる。


・・・違う。


本当はすぐに答えが出ていたのに・・・・。


【真面目】な私が偽善的に迷わせた。


そんな私をお見通しな恭司が、答えは知っているけどね。と言いたげに微笑んでその場からゆっくり離れて隣の部屋に移動する。


そうか、まだ着替えていなかったから。と、虚ろに理解してみるけれど頭の中はまだ問われた2択に揺れていて。


揺れている自分に嫌気すらさす。





嫌な女。


自分の保守の為に彼と離れたくせに。


自分も悪いと知っていながら彼を許せずに離れたくせに。


なのに・・・・。





『誰よりも幸せになってほしい』




そう思い願うのがいい女の条件である筈で、


そういう女でありたいと思うのに。






元気でいてほしくない。


寂しいって・・・、


今も苦しいって思っていてほしい。


自分の隣はやはり私しか釣り合わないのだと。




「・・・・・馬鹿ね・・・私も」




そんな運命論にまだどこか期待を馳せているのだろうか?


こんなに痛い思いをして、


そのせいで今こうして離れて、


隣に立つことすら叶わなくなったのに。


戒めのように自分の腹部に触れてみる。


何もない、


ただの体を構築する女性器にしか過ぎない。


でも・・・・一瞬でも・・・・・。


別のぬくもりが育っていたんだ。



「・・・・・・・・・産んで・・・あげたかった」



ポツリと呟いて目蓋を下す。


下した目蓋によってはらりと涙が一筋頬を伝った。




『堕ろすつもりだったの?』




瞬時に目蓋を開けて目の前の現実に集中した。


そうしないとあの瞬間の記憶に一瞬で飲み込まれて絶叫しそうだったから。


心臓が・・・早い。


なんとか回避した闇に荒く呼吸して逃し視線をゆっくり至る所に走らせ・・・捉えた。