「本当・・・千麻の秘めた一途さには驚かされる。俺にもそのくらい執着見せてほしかったよ」
「・・・・・・性格の問題じゃない?」
「それは否めない。去る者は追わず。な俺を執着する人間も珍しいしね。でも・・・・千麻もそういう人だと思ってたのに・・・・」
ああ、嫌味な微笑み。
言いたいことは十分に分かる。
そんな私がいやにまだ彼に反応すると言いたいんでしょう?
そしてそれに対する答え方次第では更にこの人を喜ばせるだけなんだ。
だからこそ、
「まだ好きな相手に未練を持って、・・・更に現状も気になるのは乙女心よ恭司。・・・そしてどうやら私もそれを持ち合わせた乙女の一人だったみたい」
はっきりと・・・・・言葉遊びは交えても充分に意味の伝わる本心を恭司に告げれば。
クスリと笑った彼が降参とばかりに手を上げた。
「彼が好き?」
「好きよ」
「君の中で重要ポイントである性欲問題は?」
「最高。・・・・・ついでに言えば苛めた反応もね」
「じゃあ・・・・・今でも・・・その時間を思い出して夢想にふけったりする?」
「・・っ・・・・・・」
言葉に詰まった。
そして一瞬言葉に誘導されその瞬間を回想しはじめた。
でも・・・・、
瞬時に警戒した体が警戒してジワリジワリと毒を流す。
少し・・・・・気持ち悪い。
確かに・・・・・・幸せな記憶である筈なのに。
狂おしい程愛し合った記憶なのに。
彼の肌が触れた感覚や熱を思い出すと体が拒絶反応をしめして動きを鈍くする。
委縮して、怯える。
すでに過ぎ去った出来事の記憶なのに、新たにそうされるような感覚に緊張して硬直して冷汗が出そうになって。
まだ・・・彼と新たな記憶を増やす事に心の奥深く、普段は見えないようなところで不安を抱いているのだと気がつく。
怯えている。
これ以上・・・・彼の存在を拒まないように。
その為に・・・下手な痛みになりかねない彼との接触や時間に怯えてしまうんだ。
なんて・・・・報われない愛し方。
呪いの様だ。



