当然、一緒に暮らすというのは性的な関係も込みかと思っていた。
それも含め納得してその鍵を手にしたのに。
住み着いた最初の夜からその意識は不要の物だったと教えられる。
確かに共に眠るのは同じベッド。
誘い文句の通りに一緒に酒を酌み交わして程よい時間にベッドに入った時に必然的にそうなるのかと思ったのに。
『おやすみ』
そう告げにっこりと笑った彼がそのまま目を閉じたのに拍子抜け。
一瞬何か気に障る事を言ったかと考え込んだほど。
結局すっきりしないまま翌日を迎え、今夜こそはだろうか?と意識して外れ。
そんな今更プラトニックを貫き早8か月ほどか?
それでもさっきの様なキス程度なら頻繁と言っていいほど交わされる。
まぁ、元々セックスありきで生活に応じたのだからキスくらい痛くも痒くもないのだけども。
最初こそ何故しないのか、恋人がいるのでは?と疑いもしたが、さらりとそれに否定を返す彼。
そしてそれ以上の理由は特に説明もなく、したくなったらお構いなしにするから。と笑顔で濁され終わるのだ。
まぁ、いいか。
そう納得して今日まで生活してきたわけで。
やはり同棲と言うより同居。
それでも収入のない私は彼の収入によって生活を確保している居候。
その代り、家事なんかは全て引き受けて、彼が仕事に行っていない間に彼の仕事を半分ほど手伝ってこなしていたりする。
しかし・・・これで半分?
PCの画面を眉根を寄せて睨んでしまう。
そうしてコーヒーを口に運び仕事の量の膨大さに深く深く溜め息が出る。
だって・・・下手したらこの量は普通に一日働いてこなすほどの量に思えて仕方がない。
そして俄然燃える。
彼が平気で今までこなしていたと言うのなら、私に出来ないはずはないと。
そうして鬼のように集中してキーボードを叩き始めると、本来のこの仕事を受けた本人がのっそりさっぱりした姿で部屋に入り込んできた。
「こんな早朝から勤勉だなぁ、千麻は」
「こんな早朝からランニングしてるあなたに言われたくない」
「ランニングは健康的でしょ?朝からこんな風にPCに向かう女の子よりは」
そうにっこりと笑って私のカップのコーヒーを手に飲み干す姿をチラリと横目で確認する。



