何てことはない。
別に恋人とかではない。
だから同棲ではなく同居が正しい響きと言える。
でも、酷く堕落した同居。
下手したら彼のヒモの様な生活かもしれないと、日々その状況に嘆いてはいるのに特別やめようとも思わない。
むしろ・・・・ここが一番楽な場所なのだ。
転がり込んだのは・・・・あの後すぐだっただろうか。
雛華さんと芹さんの家でしばらくは生活していて、それでもどこか気を遣う日々や、あそこにいれば嫌でも関わり思い出す彼の存在。
別れても余韻のように絡む生活に疲れ始めた頃に恭司から連絡があったのだ。
単なる・・・お誘い。
勿論食事の。
いつもの様に人をからかうような雰囲気でこう言って誘い出してきたのだ。
『離婚祝いにご馳走しようか?』
彼らしいと呆れた。
でもそれと同時に気を遣う事のない分かりあった存在に久しぶりに心が安堵して、返事は迷うことなく応と答える。
余計な縛りが無ければやはり気が合う2人なんだと気がつく。
会って話して。
誰に遠慮するでもなく時間を共有すれば・・・・力が抜ける。
気を遣わず、私がすることに今更何か指摘するでもなく。
ありのままで接しても、自分だけのペースを貫いても、それを気にしたり余計なお節介を働かせる彼じゃない。
だから・・・自分から先に口を開いたのだ。
『また・・・時間を見て会わない?』
別に色仕掛けしたわけでもない、表情も別に楽しげにしてたわけでもない。
ただ漠然と、無表情でそう切り出せばクスリと笑った恭司はあっさりその一言を言ったのだ。
『いっそ、毎晩俺の部屋で飲み明かさない?』
同時に、コトリと私の前に合鍵を置いて。
驚いたけれど抵抗はなく。
あるとしたら一般常識的なモラルや節操だろうか?
仮にも離婚して僅か・・・。
簡単に他の男と生活を共にするなんて社会的にどう見られるか?と一瞬は考えたもののすぐに嘲笑。
どうせ・・・次なる仕事も決まってないのに仕事を辞めて、今でさえまだ新婚と言える夫婦の下でお邪魔虫的にその身を小さく生活しているのだ。
今更私に物申す社会もないか。
悲しくもそう判断した頭はすぐに差し出された鍵を手にするよう体に命じて。
そうして翌日にはその身をこのマンションに移してきたのだ。



