息が止まる。
捉えた表示に胸がざわめいて。
記された内容に戸惑う。
それを・・・・するかしないか。
それでも・・・、苦しいかもしれないけれど、
最後・・・・・だ。
そう思って・・・顔を上げた。
【上を見て】
メールの指示に従って。
そうして、何フロアも吹き抜けるそこを見上げ、すぐに捉える。
2階の手すり、ロビーを見下ろせるそこに身を預け私を見つめるグリーンアイを。
瞬時に歓喜と悲哀の同時浮上。
それでも距離がある事に耐えれる程度の動揺。
それを理解してなのか確認するように見つめていた彼が、手にしていた携帯を持ち上げそれを指さしてから耳に当てる。
多分・・・・『話せる?』のジェスチャー。
一瞬ものすごく動揺した。
距離はあっても・・・・その声を近くに感じたら限界を超えないか?と。
それでも・・・・、それでも・・・・、声が聞きたい。
自分の手にしていた携帯を持ち上げ、了承を示すと安心したように口の端を上げた姿が携帯を操作し耳に当てた。
すぐに自分の手の中で震えたそれに馬鹿みたいに緊張して、応答をタップして震える手で耳に持っていく。
そして・・・。
『・・・・・久しぶり』
あっ・・・・泣きたい。
確かに拒絶するような感情も浮上するのに、必死にこらえて恋しさを後押しする。
離れた姿を見つめ上げて、その表情を捉えて震える口を動かした。
「・・・・仕事・・してください」
そう切り返せばクスリと困ったように笑う響きと遠い姿。
変わらない。
いつもの・・・彼。
『・・・・・受け取った?』
少しの間の後に躊躇いながら問われたそれは主語が無くても分かる。
だから、自分の手にある封筒を見せるようにかざして返事を返す。
「しっかりと、」
『・・・・すぐに・・・持っていく?』
「・・・・この足で・・・・すぐに、」
『・・・・・こんな時でも・・・・迅速な行動なんだね』
困ったように、私の行動の速さに苦笑いを浮かべる彼に同じように口の端を上げてみる。
一瞬驚いたような顔をした彼がすぐに口元に弧を描いてからゆっくりと息を吐いた。
『・・・・もう・・・俺には笑ってくれないのかと思ってた』
「・・・・・あなたにと言うよりは・・・・、行動に賞賛頂いたことに笑んだだけです・・・」
『さっきのは賞賛?』
「迅速に行動するとお褒め頂きました」
『仕事馬鹿』
「ありがとうございます」
こんな掛け合いも・・・・・変わらないのに。
隣には・・・・立てない。
私の体が許さない。
今も・・・。
抑え込んでいたけれどやはり浮上する不快感に眉尻が下がる。
もっと彼の声や印象を焼き付けたいと思うのにそれを拒む感情。
『許すな』
そう言われて牽制されて。
そろそろ限界だと額を抑えて声を響かせた。



