その風に立ち向かうように颯爽と歩き出して、行きかう社員の中を歩く。
ここでも会釈されたり女子社員の基地外な視線を感じたり。
それでも副社長らしく歩きぬけるとフロントに立つ女子社員に近づいて声をかける。
「ねぇ、秘書課の水城って帰社してここ通った?」
「水城ですか?私どもが確認していた内ではまだかと、」
ふぅん、まだ・・か。
そんな事を思いながら視線を広いフロアに走らせその姿を探す。
確かに捉えられない姿に女子社員に微笑み礼を告げるとその身を返した。
瞬間。
視界に入り込む。
会社の外入り口の前にその姿を。
相容れない姿と一緒に。
一瞬にして心臓がいやな跳ね方をして暴れだす。
何を話しているのか、そう思った直後あの男が彼女の腕を掴んで社内に向かってくる。
戸惑いながらその身を物陰に近い位置に移動させ、遠巻きに中に入ってきた2人を見つめてしまう。
話している内容は聞こえない。
でも、珍しく真面目な表情の男と彼女の姿。
いや、彼女に至っては多少呆れた表情であるから、またいつもの他愛のない会話なんだろうか?
そうして内容分からず、いったいいつから、どこから一緒だったのか分からない2人を確認し。
先に動き出した男が重役フロアに繋がるエレベーターに向かって歩き始める。
なのに目的地は多分同じであろう彼女の不動。
そして捉えてしまった瞬間。
あいつの姿を見て笑った彼女とそれを瞬時に隠した姿。
別に・・・特別な意味はなかったのかもしれない。
ただ、話していた会話の内容を反芻してだったのかも。
それでも・・・・疼く感情。
余裕がない俺には充分すぎるほどの衝撃で、
ああ・・・・どうしよう。
不安が・・・浮上する。
そして対して差もあかず動き出した彼女はさっきあの男が向かったエレベーターに向かう。
時間・・・工作?
俺に・・・万が一見られるのを避けたんだ・・・・。
ねぇ・・・、頼むから・・・・・・・不安にさせないで。



