Side 茜
千麻ちゃんが戻ってこない。
ってか・・・・音信不通・・・。
度々携帯を覗き込んでも変化のない画面に溜め息が漏れる。
そして空席の彼女の席を見つめ・・・。
「寂しいぃぃぃ」
本音を呟きデスクの上に突っ伏してしまう。
そして出かけ際のキスを思い出してドキリとする俺は純情なのか。
決してまだすっきりとわだかまり解けたわけじゃない関係。
むしろ問題を丸投げで今だけの幸せにしか目を向けずに彼女の意思を無視している。
考えるために離れたいと言ってきた彼女は必死だったのに、先にあの男の存在が浮上していた俺の余裕のなさ。
結果・・・・追い詰めて、縛りつけて、・・・違和感ある【当たり前の日常】を演じさせている。
「最低だろ・・・・・俺」
自分で分かる。
分かっているから余計に彼女の後ろめたくて。
なのに彼女も責めることなくそれに必死に応えようとしてくれているから余計にもどかしい。
怒っても詰ってもいいのに。
半ば強引で多分彼女には苦痛なセックスも抵抗してくれてもいい。
なのに・・・・全て、飲み込んで受け入れる。
そうしないと自分が嫌われるかのように。
どうしたら・・・・伝わるのだろう?
むしろ・・・駄目なところであっても全部・・・俺に見せて。本当に全て俺の物にしたいというのに。
結婚してるのに・・・
「・・・・片思いの思考・・・だ」
はぁぁ、と大きく溜め息をついて体を起こす。
こうして一人でいるとどうも余計な思考が頭を巡る。
そして傍に彼女がいないと最近は俺の方が情緒不安定で。
駄目だ・・・・・、会いたい、抱きしめたい。
キスをして、『呆れた』と怒って・・・・笑って。
そう・・・・・笑ってほしい。
千麻ちゃんが笑った顔が・・・・何よりも好き。
とか言って・・・最近は泣かせてばかりだったんだけどね。
結局は自分の大人になり切れない不甲斐なさに頭を抱え、何度目かの溜め息を吐いて沈黙。
ってか・・・・本当に遅くね?



