夫婦ですが何か?





写真と予定日の書かれた紙を手帳に挟むと鞄にしまい。


何気なく携帯を確認して『しまった』と思った。


気がつかなかった着信履歴。


当然表示は彼からで、雛華さんのところに行っただけにしては時間がかかりすぎだと電話してきたのだろう。


そして暗黙のルール。


すぐにかけ直すか、出来ない時はワンギリするという。


着信があったのは30分も前。


ああ、ヤバい・・・・絶対に不機嫌だ。


予想する姿に今から溜め息をつくと着歴を捉えた雛華さんが苦笑いで提案してくる。



「俺が事情説明しようか?」


「いえ、下手に言うと彼は一生雛華さんにぐちぐちと不満を言うと思うので。・・・・とり急ぎ帰社してご機嫌を取ります」


「まぁ、ストレス溜めないように・・ね」




苦笑いで検討を祈ると見送ってくれる雛華さんに頭を下げると小走りに数歩いき、すぐに意識して歩いた。


そしてそっと労わるように指先で触れて口の端が上がる


ああ、多くは望まないの・・・。




ただ・・・・・彼譲りのグリーンアイである事を望むだけ。









適当に車を拾うと体を冷やさないように会社に戻る。


代金を払って鞄の中に財布を戻しながら歩いていれば自分の前方不注意。


ドンッと誰かにぶつかり鞄を落とし中身がばらけ、それに落胆しつつ相手に謝罪を響かせた。



「すみまーーーーー」



うわぁ・・・・。


と思いっきり顔に出てしまったらしい。


瞬時に嫌味な微笑みが強まり彼特有の香りが鼻に付く。


そして身構えてしまう。


彼の嫌味を。



「やぁ、ベタな運命の出会いを狙ってぶつかったの千麻?」


「だとしたら神様は私にかなり意地が悪いと実感したわ恭司」


「いや、むしろ運命なのかもよ?そろそろ馬鹿な夫婦ごっこに見切りつけて俺と楽しみなさいっていう」


「いつからそんな馬鹿っぽいセリフ言うようになったの?」



馬鹿らしいと散らばった荷物を拾い集めて鞄に入れる。


そんな私にクスクスと笑いながらも同じように拾い上げてくれていた恭司の動きがピタリと止まった。


でも自分からの角度では彼の背中しか捉えられず、拾ってもらっておいて『何してるんだ?』と睨んでしまった。