特別なんかじゃない。
そう答えを得た瞬間に自分と彼に失望したんだ。
そっか・・・私が過剰に彼への失望に怯えたのは・・・・。
一度・・・それを体感したから。
あの瞬間の痛みを知っているから。
もうすでにあの瞬間にヒビが入って、次に同じようなことがあったら・・・・砕けると分かった。
特別だと思っていた運命論も、必死で築き上げてきた信頼でさえも。
そうなった時・・・・・きっともう・・・・彼の隣に立てない。
好きでも・・・・きっと・・・・。
「・・・・・・・千麻ちゃんの矛盾はそれが原因だね」
「・・・・・」
「傍にいたいのに・・・・傍にいたらいつかまた似たような失望をお互いに感じるのが怖いんだ。・・・茜の傍にいたいから」
気がつけば頬を涙が伝う。
それを拭いながら息を吸って数回頷いて肯定する。
目の前のお茶からはもう湯気は立っていなくて、温くなったそれをようやく口内に流し込んだ。
雛華さんと言えば肩肘を炬燵について、それに頭を預け私をじっと見つめる。
「・・・・・茜ちゃん・・・・・無茶苦茶愛されてるんだね」
「・・・・・」
「めっちゃ・・・幸せ者じゃん・・・・」
心底そう思うと言いたげに雛華さんの口の端が上がる。
それを捉えた瞬間、
似てると感じた。
あんな賭けをする前に過ごした時間の彼に。
揉めてもぶつかっても・・・・最後はこんな風に彼は笑っていたんだと。
そして・・・・その笑顔や優しさに絆されて、私の気持ちも動いたのに。
「傍に・・・・いたいんです・・・」
「・・・・・うん、いてやってほしいと思う」
「でも・・・・恐くて・・・・・」
また、あんな失意を感じたくない。
いつでも・・・・いつまでも私の特別でいてほしい。
だから・・・欲しいんだ。
ひびが入ったそれを塗り固めるような。
失った自信の半分を埋めるような新たな何かが・・・。
馬鹿な望みでも、やっぱり・・・私たちは特別なんだと感じる何かが。
今にも流れそうな涙を未然に指先で取り除いて鼻をすすった。



