でもすぐに耳に入り込む雛華さんの声。
「結局さ・・・、極論きくねYESかNOしかない質問として、茜と結婚したい気持ちはあるのか?」
「・・・それは・・・そのなんていうか複雑な・・」
「2択~。細かい事情は知らないしこれに答えたからってそうしろってわけじゃない」
相変わらず興味なさそうにお茶を注ぎながらの問い。
湯呑に注がれる緑色のそれを見つめながら問われた質問の答えを考える。
いや、考えるまでもなく、
悩み全て無くして言うのなら・・・。
「YES」
「・・・・じゃあ、何でここまで不安が大きくなったのか。そのきっかけになった一瞬は何?」
「・・・・きっかけ?・・・それは・・・最初から・・」
「契約云々?上司と秘書の関係で尊敬しあう間柄だから?・・・違うね。そんな確定のない事が問題ならここまで千麻ちゃんは悩まなかった筈なんだ。」
コンと湯呑が自分の目の前に置かれ、綺麗なグリーンアイが私の目をまっすぐに見つめ返す。
「ねぇ、千麻ちゃんが・・・茜との時間に落ち込んだ瞬間は何?」
催眠術のように、原因は何かと心の奥から探すようで。
それに見事引きずられ過去の記憶を逆戻り。
本のページを戻すように、今まで過ぎた部分を確かめるように探って。
そして・・・・見つける。
喪失感の日。
結局・・・・そこに突き当たるのだ。
「・・・・・・・己惚れてたんです」
「・・・うん、」
「どこかで・・・・・・・私と彼は特別で・・・仕事でもそれ以外でも・・・・・他の人では成せないような奇跡も起こせるんじゃないかって」
そう信じてた。
どこかで・・・・そうである運命だと。
運命論なんて馬鹿にしていたくせに。
あまりに彼との時間が心地よくて、下手なプライドでさえ取り下げてもいいんじゃないかってくらい。
そうして・・・・あの賭け。
「そんな・・・馬鹿みたいな奇跡に賭けて・・・・もしそうなら・・・もう迷いなく隣合えるんじゃないかと思ってて・・・・きっと・・・彼以上に夢と言うより期待を馳せていた。
馬鹿だけど・・・・・勝つつもりで・・・勝つはずだった・・・」
なのに・・・・負けた。
運命なんてやっぱりなくて、私達を繋いでいたのはただの5年の時間の成せる息だけだって突きつけられた気がして。
馬鹿みたいに、らしくなく夢見た瞬間に現実を投げつけられたんだ。



