「茜が・・・・好き・・・・」
やっと弾きだした言葉。
本音で本心で譲れない感情である筈なのに。
何でこんなに苦しいんだろう。
思わず口元を抑えて下を向けばすぐにその顔を持ち上げられた。
涙で潤んだ視界に捉える彼もぎりぎりそれを抑えている様に感じる。
今にも溶けだしそうな・・・悲しい悲しいグリーンアイ。
「なら・・・、好きなら・・・・離れる必要ないじゃん・・・」
言いながら左手に絡んでくる彼の指先に鳥肌が立つ。
絡んだ瞬間から言いようのない不安が浸食してきて、また頬に涙が流れた。
すぐにその涙を柔らかく指先で拭う彼は私を愛おしんでいるのに・・・。
「離れないで・・・・・・・・・・・・・、ねぇ、泣かないでよ・・・・。
・・・・・・・笑ってよ・・・・千麻・・・・・・・」
それを求めるように頬を優しく撫でるのに。
ごめんなさい。
・・・・・・・恐い・・・・。
彼を【失望】させないように必死で上げようとした口の端。
それでも中途半端に上げかけて力尽きたように落ちた。
落ちて・・・決壊。
目蓋を下せば涙が溢れて落ちて、弧を描けなかった口からは嗚咽が零れる。
「・・・・・・離さない」
目は・・・恐くて見れなかった。
耳に響く声に怯えて、きつく目蓋を閉じた私の唇に彼の唇が重なった。
息が・・・苦しい。
彼の腕の中は・・・・・安堵するものであったのに。
「・・っ・・・痛・・・・・
・・・・・・・・・・・痛いーーーーー」
「・・・・・・・」
初めて・・・・・彼に抱かれるのを苦痛に感じた。
そんな風に感じたくなかった。
好きだから・・・・・。
「千麻・・・・・・・・・・」
苦しいのは・・・・・、好きだから。
なのに私の中で出来上がった物が頑丈で、
どんなに叩いてみても壊れなくて。
そして悲しいかなそれがあるから・・・、
私はまだ彼の傍にいる。
彼が求めるのなら傍にいるという変わらぬ忠誠。



