「・・・・・話し合いたいんです」
「・・・・・はぁ・・、何?」
本音を言えば怯んでいた。
拒絶的な彼は今一番の私の恐怖の対象であったから。
それでも、
「考えたんです」
「・・・・何を?」
「・・・・・・・離れて・・・暮らしませんか?」
「・・・・・・」
私らしい。
言葉を過剰に飾る事なく結論から言ってしまう。
だからこそいつだって他の人は私を冷たく真面目で嫌煙の対象と分類してきた。
でも・・・・、彼だけは違った。
だから、今も分かってくれると・・・・勝手に決めつけた。
結論だけの提案後・・・沈黙。
それでも一瞬彼の動揺をグリーンアイに見た気がした。
一瞬、・・・一瞬だ。
すぐに掻き消すように皮肉な笑みを浮かべた彼が視線を外して近くの壁に身を預ける。
どういう反応なのか。
それでも沈黙が意味するのは説明を求めてなのかと躊躇いながらも口を開いていく。
「少し・・・離れて、1人で考える時間が欲しいんです」
「・・・・」
「もう・・・グダグダ悩んで・・・仕事にもお互いの関係にも不安を感じるのが嫌なんです」
「・・・・」
「あなたの為にも・・・・・」
あなたを、これ以上疲れさせて困らせたくない。
「私達のこの先を安定したものにする為にも・・・」
私達が、どんな形でも一緒にいる為にも。
「少し離れて・・・・冷静になって・・・考えたいんです」
冷静になって、冷静な頭で・・・真剣にあなたとの結婚を考えたい。
この左手の輝きを誇れるものに・・・、眺めたら笑ってしまうような自分を見つけたいんです。
そんな結論を探したい。
あなたを愛してるんです。
「別れたいの?」
ようやく耳に響いた自分以外の声。
低く、威圧的なのか怯んだものなのか、両者に取れる音と言葉の意味に不動になった。
驚愕に満ちる眼で捉えるのは真面目な顔の彼。
でも皮肉に微笑んでも見え、怒っている様にも見え、悲しんでいる様にも見える。
一瞬その姿に呑まれ全ての反応が不動になっていたけれど、徐々に回復する頭で首を横に振ってみる。
「・・っ・・違・・う」
違う。
別れたいんじゃない。
別れたくないから・・・・離れて時間が欲しいだけなのに。



