夫婦ですが何か?





Side 千麻


肌で感じる。


それこそもうずっと・・・夫婦として関係を持つ前からの感覚で理解する。


ピリピリと、


チクチクと、


静電気のように感じる彼の抑え込む感情の負。


車の中からこうであった。


いや・・・その前、


昼食を終えた彼と合流した時には出来上がっていた負の塊。


一言も発さず。


視線すら絡まない。


私と言う存在が無いかのように隣り合う姿に心が怯む。


そうして帰社したオフィスで継続するそれに緊張感を強めながら平常を装ってパソコンに向かう。


こういう時程デスクワークに感謝したことはない。


言葉を交わさない理由がそこにある。


言葉を交わさなくていい理由がそこにある。


それでも気になって時々視線を走らせるのは・・・・過去になかった自分の姿。


気にしなかった。


彼に特別な感情を抱くまでは。


ああ、また・・・・何かに不機嫌なのですね。


そんな風にやり過ごして時間を、日々を重ねていたのだ。


なのに今は・・・。


何の怒りだろうか?


やはり・・・・行きのわだかまりがまだ継続している?


それとも昼食時に再び不完全な痴態を晒しそうになった事?


どちらにせよ理解するのが・・・・・怒りの対象が私にかかわる事だという事。


一切絡まないグリーンアイがすべてを語る。


言葉を浴びせられるよりキツイ彼の責め方。


収まった体の不快感の浮上。


ああ・・・・・気持ち悪い。


それでも・・・・・、


こんなに不協和音響いても思ってしまう。




彼を失いたくないと。


せめて、彼が私を信頼してくれているうちは。


彼が私を求めてくれているうちは。


傍にいたい。




じゃあ・・・・何故、


私は左手の輝きに怯えるのだろう。



ああ、それを考えるためにも、


彼と一緒に納得して繋がっているためにも。


こうして畏怖する姿であっても話さなくては。




少し・・・考える時間が欲しいと。




ドキドキと不安に騒ぐ心臓を宥めてゆっくりと目蓋を閉じる。


きっと大丈夫。


彼は不機嫌であっても筋が通れば話を理解してくれる人だから。


そう言い聞かせゆっくり目蓋を開けると意識の切り替え。


キーボードで不動だった指先の活動。


ここは会社だ。


私はいつだって彼の為に動いて役に立って、場所がここである以上今一番彼の役に立つのは目の前の仕事だと意識を集中した。