言われた言葉は彼と一緒なのに、
何で?
「千麻は・・・言わせないと吐き出さないから困る」
そんな風に笑うなんて・・・・狡いわ恭司。
滅多に見せない、素の笑みで困ったように私を見下ろす姿に緊張感の緩和。
馬鹿みたいだ。
警戒しなくてはいけない相手に気を緩めて。
少しでも今の状況からの回復を願った。
ブクブクブク・・・・。
そんな風にいつの間にか沈みかけたのは私。
最初は悲しみに沈みそうだった彼を助けようと手を伸ばして、彼を岸に上げたとたんに私が沈んだ。
彼の手も伸ばされていたのに、
馬鹿なプライドで大丈夫だと突っぱねて。
馬鹿だったの・・・。
あなたの優しさに甘えればよかったのに。
ホテルのロビーのカフェ。
事の一部始終を恭司に打ち明けた。
馬鹿だと嘲笑されそうな葛藤まで全て。
でも・・・上手く伝えられていたのか。
自分でも捉えどころのない悩みを思いついたまま感情的に吐き出して、それでも最後まで下手な言葉も挟まずに聞き入れた恭司。
何を考えているのか、私の左手の指輪を見つめながらの沈黙に自分も沈黙で応じて。
やはり返されるのは馬鹿な女だという嘲笑かと思った。
「・・・・・ふぅん・・」
「・・・・」
「・・・・まぁ、・・・・色々な細かい事はあるんだろうけど・・・」
「・・・・」
「結論、・・・・素直に恋愛するには千麻の性格と奉仕した5年と彼の相性が悪いって事だね」
「・・・もう分かり切ってる解説ありがとう」
言われた言葉にそれは理解していると頭を抱えて溜め息をついた。
そう、そんなことはそれこそ最初の頃から分かっていて、それが現実化したからどうしたらいいのか?が目下の悩みなのだ。
なのに名回答を告げたようにコーヒーを口に運ぶ男を非難するように一睨み。
決して視線は絡んでいないのに、
「睨まれても困るし」
「相談に乗るつもりで声かけてくれたんじゃなくて?」
「いや、珍しくボロボロに泣いてる千麻の事情が面白そうだって聞きだしただけ」
にっこりと躊躇いもなく言われた言葉に唖然とした後に勢いよく席を立つ。
ああ、こういう奴だって分かってた筈なのに。



