心で皮肉な突っ込みをして顔を上げ、会社のメンツを保つように精一杯感謝の意を示すと。
何やら横にあった包みを目の前のテーブルに仰々しく置き明らかに私と彼に差し出してくる。
「これは?」
「いえ、先日家族と参拝した神社が子宝にご利益のある有名なところだったみたいで。差し出がましいとは思いましたが、是非良き後継者に恵まれますようにと」
彼の疑問に大義を成したように誇らしげにそれを示した相手の社長が目の前の包みを開けて中身を見せる。
入っていたのはお札の様なものと高そうな立派なお守り。
あっ・・・。
と、思ったときには現実の重みに押しつぶされて、その重みに眉尻を下げてしまった。
明らかに動揺を示した私は相手にもしっかり捉えられ、怪訝な表情で覗き込まれた瞬間に正気になった。
「あの?ご迷惑でしたかね?」
「っ・・いえーー」
「ありがとうございます。すみません、あまりに立派な物だったので彼女も驚いたのかと」
彼のすかさずのフォロー。
そして同調を求めるように微笑んで向けられた視線は少し鋭い。
それでも瞬時に笑みを作り上げると口の端を上げて相手に頭を下げた。
「ありがとうございます・・・、こんな大層な物・・・光栄です」
「いやいや、頑張って大道寺の良き後継者を紡いで頂かないと。ご利益あって子宝に貢献できればそれこそ光栄な話ですよ」
「ありがとうございます。では、吉報はいの一番にしなくてはいけませんね。両手ついて子宝主に頭を下げなくては」
「いやいや、本当、これがいい結果に結びつくといいんですがね・・・」
心臓が・・・・煩い。
他愛のない単なる流れの会話だって分かっているのに。
どうしよう・・・・私・・・笑えてる?
和やかに微笑む輪の中で私だけが不自然に感じてならない。
彼のその場しのぎの微笑みでさえ重圧に感じて。
息苦しい。
「ああ、もうこんな時間だ」
「せっかく出向いていただいたんだ。それに息子夫婦にこんなご利益強い贈り物まで、ここでただお帰り頂くわけにはいきません。お昼でもご一緒にいかがでしょうか?」
すっかり満足したらしい相手の社長が腰を浮かしたのに、すかさず待ったをかけた我が社の社長が彼にも視線走らせ同席を求める。
当然否はなく、にっこり微笑んだ彼は応と答える。



