最近はどこか不安な感情で始めていた行為。
でも久しぶりにそんな負の感情皆無で、着ていたパーカーをばさりと脱ぎ捨て素肌を明るい光の下に晒す。
「わお・・・、なんかちょっと久々の攻めの姿勢にどMな俺ってば興奮してきてるかも」
「興奮していいですよ。・・・・期待してます」
「またそんな・・・プレッシャー負けしそうな。・・・それに俺さっき『エッチ出来るから好きなんじゃない』とかカッコつけて言った手前、性欲にガツガツしたらなんかカッコ悪くない?」
「カッコ悪いあなたなんて見慣れてます」
「うーん、喜んでいいのか嘆いていいのか・・・」
「茜・・・」
「・・・・」
彼もそれなりに緊張していたのか。
それともまた途中で私が不能になる心構え?
言葉遊びで始まりを濁す彼に名前の響きで牽制。
でも怒ってるんじゃない。
ただ、久々に高まった熱を彼と共有したいだけ。
名前を呼んだ唇を彼の耳の元に持っていき小さく口の端を上げると・・・・・悦楽の響き。
「『好き』よ・・・・・」
「・・・・・痕跡も残さない程成仏しそうだよハニー」
スイッチ。
彼の不安も飛んだと感じた。
私の不安も・・・・久しぶりに掻き消された純粋なる欲のみの時間。
言葉を弾いて即座に首筋に噛みつくように這う彼の唇。
それにゾクリと感じて眉根が寄って、もどかしいというように彼の服を捲りあげ脱がせて肌を密着させる。
「・・・あっ・・・」
思わず声を漏らして息を吐く。
焦らすことなく彼の口に含まれた胸の先が舌先で遊ばれる感覚に、じりじりと下腹部に熱を感じてもどかしい。
この感覚・・・久しぶり。
早く早くと心が急いて、血が沸騰しそうに逆上せて。
泣きたいくらいに一体化を求める。
「・・っ・・・」
「・・・千麻・・・・・・」
そんな熱っぽく名前を呼ばないで。
ただでさえ・・・・重なったこの感覚に溶けて消えそうなのに。
「・・・・・・茜・・」
恐ろしいくらいに溺れた。
痛いくらいに求められて、痛いくらいに求めて。
響く吐息や嬌声や肌のぶつかる音・・・・水音。
扇情的すぎる空間と時間に沈んで。
時間の概念も飛んで、羞恥心すら皆無で、無駄な悩みの介入も許さない。
だから・・・左手は視界に入れず。
愛欲のみに安楽を求める。
おかしい。
不安も、
安堵も、
どちらも彼の愛情によって私に与えられているのだから。
でもこうして肌が彼を拒絶しなかったのは【安堵】の方の彼の優しい愛情の作用。



