「・・・・失望なんてしてない」
「・・・・・」
「いつだって・・・今だって・・・、俺は千麻ちゃんが大好きだよ」
そう告げた唇がそれを示すように私の顔により、一瞬躊躇った後に柔らかく重なった。
ゆっくりしっかり唇が密着して、そのキスに私が抵抗や拒絶を見せないとようやく背中を這う彼の手。
優しく抱き寄せられて労わるようなキスを数秒交わすとゆっくりと離れる。
「・・・・落ち着いた?」
「・・・・・・・はい、」
「ねぇ、・・・・あんまり驚くような事言わないで。俺がそんなことで失望するなんて考えてるならそっちの方が失望の対象だよ」
「・・・・すみません」
ああ、彼の少し動揺に満ちた心音が耳に響く。
でも、安心する。
まだこうして彼の意思で彼の胸に抱かれる現実に。
言葉より伝わる。
必要とされている実感。
「俺が言いたかったのはね。・・・・千麻ちゃんを楽にしようと早まった判断をしたのが、逆に千麻ちゃんを苦しめちゃったなら・・・・保留にしよう。って事」
抱きしめたまま柔らかく髪を撫で一言一言慎重に私に伝えてくる彼の声に誠実さや優しさを感じて泣きたくなる。
でもだからこそこんなに労わってくれる人を悲しませるような反応は取りたくないという感情の浮上。
そしてそれに甘んじてこの指から輝きを外したら、・・・本当は落ち込んで私に対して意識が薄れない?
そんなのは・・・・・・辛い。
今更・・・・この甘く優しい存在を失うのは嫌。
「・・・・別に・・・重荷じゃないです」
「・・・・千麻ちゃん、」
「たかが指輪。・・・それに、今までだってプロポーズまがいな事散々私に言ってきたじゃないですか」
「でも・・・、」
「大丈夫です。・・・ただ、あまりに今まで以上にまっすぐに言われたから私の微々たるセンチメンタルな女の部分が過剰反応をきたしただけですから」
ちょっとしたホルモンバランスのなせる業。
指輪を外さずとも時間とともに解決すると彼の目を覗き込んで問題ないと【らしく】宣言。
そんな私に複雑に微笑んだ彼が空気を変えるように私の頬にチュッと軽く唇を当てた。



