お正月らしくお節やお雑煮を頂いて、雛華さんと芹さんや途中から朱さん藍さんも加わりの宴会ごとになった。
人が多ければ多い程ここ数日の緊張感が薄れて、私も彼もリラックスして当たり前になる。
それがまた安堵する対象になって。
帰るころには抱いていた物の緩和。
玄関で頭を下げて彼と一緒に外に出れば冷たい空気と濃紺の空。
実家とマンションの距離を語れば駅5つ分程だろうか?
タクシーと言う手もあったけれど終電にはまだまだ時間はあり、ついでに言えば酔い覚ましとばかりに駅まで歩いて電車で帰りたいと彼が言い出したのだ。
特別それに唱える異もなく変な緊張感もなく、程よく摂取したアルコールによって温まった体を2人並べて歩いて帰宅。
雪なんかは降ってもいなく、ただ乾いた冷気満ちる空気に自分たちの吐く息だけが白く広がって。
家を出てから特に話すこともなく数分。
さすがになにか話すべきだろうか?と話題を探し始めたタイミングに先に彼の声が耳に響いた。
「楽しかった?」
「えっ?」
「ん?ほら、義父とはいえ社長宅でお正月じゃん?それなりに緊張したかな?って」
「・・・・今更あの社長にどう緊張しろと?」
「あはは、父さん立場ない!!」
「それに、雛華さんや芹さんもいましたし、」
「ねぇ、ひーたんも正月くらい実家(ロス)に帰ってやればいいのに・・・」
「芹さんの体調考えればもう少し後に顔出しても問題ないのでは?」
「あ、そっか」
納得だと反応を示した彼に若干呆れ眼で見上げれば、寒さでなのか鼻を軽く赤くした顔が私を捉えてにっこりと笑う。
一瞬ドキリとして、それでもすぐに可愛くない言葉を探す。
「鼻の上赤くて子供みたいですね」
「仕方ないじゃん。こんだけ冷えてるもん」
「ああ、すみません。訂正します。子供ですものね」
「訂正ってそっち!?」
「私から見たらまだまだガキんちょというか・・・」
「ねぇ、歳の差は努力で狭められないし・・・」
フンッと不貞腐れた彼が視線を前に戻して歩く、それを隣から見上げて小さく笑うと自分の視線も前に戻した。
行く方向に必ず先行する自分たちの白い息。
明確になるほど冷え込んでいるのだと気づかされる。
温まっていた筈の体も徐々に熱を奪われていって、不意に思いついた事と、それの為の意識。



