Side 千麻
芹さんの隣に身を置き雛華さんも交えての他愛のない話に盛り上がる。
本当に他愛のない、『このメーカーのマスクがいい』とか『つわりはあるけど食欲旺盛だ』とか。
それでも楽しげに話す2人は何のわだかまりもなく幸せなんだな。と感じてどこか羨ましくもあって。
時々彼女が無意識でなのかお腹に触れるのを捉えて、言いようのない幸せを感じてこちらが微笑みそうになるほど。
「もう、性別は分かるんですか?」
「まだまだ、今は4か月なので・・・5か月入って分かるかどうかですね」
「どちらが欲しいとかあるんですか?」
「俺は芹ちゃんに似てればどっちでも」
「雛華さん・・・・絶対に私に似るより雛華さんに似た方がこの子は人生得すると思いますが・・・」
「えっ?何で?むしろ俺いじめられっ子だったし」
「・・・・でも気づいてなかったんでしょ?」
「うん、気がついたら傷だらけで・・・あの当時は凛姉が怒って学校に乗り込んで行ってた気が・・・」
それすらも記憶が曖昧だという雛華さんに彼女と一緒に苦笑いで呆れ、話が逸れたと軌道修正。
再度彼女の腹部に視線を移し、珍しく働く好奇心でそれを口にした。
「触ってみてもいいですか?」
「いいですけど、まだほんのりとしか膨らんでないですよ」
そう言ってクスリと笑った彼女が『どうぞ』とばかりに手をどけ触るのを促してくれる。
内心、神聖な物を触るような感覚でそっとその場所に触れてみる。
彼女が言った通りにまだわずかばかりな膨らみ、それでも確かに膨らんだそこにはちゃんと命があるんだと実感して言いようのない熱で胸が満ちる。
「なんか・・・・感動です」
「フフッ、千麻さんが珍しいですね」
「う、動いたりはまだなんですか?」
「動いたりはするんですがまだ胎動として他者が感じる物じゃないんです。小さくお腹の中で空気が動くような感じでしょうか・・・ポコッと」
「ね~、芹ちゃんばっか感じて狡いよね~、俺も早く感じたい」
「雛華さん・・・狡いと言われても私にはどうにも・・・」
「でも妊娠って探求心疼くんだよね~、どんどんお腹が大きくなるってどんな感じ?とか胎動とか、お腹が張るってどんな感じ?とか、出産って・・・」
「はい、雛華さん、そればっかしは雛華さんでは実証できないことなので諦めて落ち着いてください」
徐々に探求心に嬉々とし始めた雛華さんの服の裾を掴んだ芹さんが、いつもの事だと冷静に引き戻す。
あまりに出来上った2人の息に思わずクスリと笑ってしまうほど。



