「あけましておめでとう。茜ちゃん、千麻ちゃん」
「おめでとう、今年の正月の主役は確実にひーたんと芹ちゃんだね」
言いながら2人に近づいた彼が芹さんのまだ膨らみもない腹部に視線を走らせてにっこりと微笑む。
その瞬間に庇うように芹さんを抱きしめた雛華さんが不満げに彼を睨み上げる。
「セクハラな視線」
「ひーたん・・・・心狭い。セクハラは仕方ないよ、あの父さんの血筋だもん」
「ああ、納得・・・」
また馬鹿な会話を。と呆れたのは私と芹さんで、露骨に溜め息をついた私とは違い苦笑いで流した芹さんは大人なのか。
そんなタイミングで地獄耳であるご当人の気配。
「お前ら・・・俺をなんだと思ってる?」
「「・・・・・歩くセクハラ男?」」
ほぼ同時。
ここまで綺麗にハモることがあるんだなぁ。と思うほど的確な彼と雛華さんの言葉に、言われた義父はショックを受けるでもなくただにっこりと肯定の笑み。
大物なのか・・・。
呆れていいのか尊敬すべきか、そんな眼差しで見つめていれば不意に私を捉えた黒豹の眼差し。
スッと目を細め何かを確認するとその視線は彼に移る。
「茜、・・・・ちょっと書斎にいいか?」
「はぁ?何?」
「仕事の事でお前にも確認取りたくて」
「正月早々仕事かよ・・・」
勘弁してくれと言いたげに眉を顰めた彼が私に『ごめん』と言うように微笑んで社長である父親について部屋を出る。
それを見送ってどこか力が抜け息を吐く。
そんな瞬間に芹さんの嬉々とした声が耳に入り左手に指先が絡んで持ち上げられた。
「綺麗。これ、茜さんからですか?」
にこやかに悪意なく微笑んで声を響かせる彼女に、内心複雑な心中であっても口の端を上げて小さく頷き肯定した。



