そんな姿に溜め息をついて彼の手から荷物を受け取り玄関に置くと、その身をかがめて散らばったものを拾い始めた。
甘い香りの赤い赤い・・・。
「ドジですね」
「これは不可抗力と言うか、・・・・千麻ちゃんにも非がありませんか?」
「根本を辿ればこのような物を袋にも入れずに抱えて帰ってきたあなたが原因では?」
「違う!だって袋下で破れちゃったんだもん。それで必死になって抱えて持ってきたのに千麻ちゃんが詐欺とか言って通せんぼするから・・・」
「こんなに大量に買い込むからでしょう。どうするんですかコレ。と、いうかこんなに買い込むほど好きでしたっけ?林檎」
そう言って手に持った真っ赤で甘い香りする林檎を睨むように見つめると、林檎越しに捉えた彼が悪戯にニッと含み笑い。
ああ、なんか企んでいるそれだ。
つまり、ただそのまま食べるつもりではないらしいそれに若干の不安を感じて再度挑むように見つめてしまった。
だけどその手の中の赤は一瞬で彼に抜き取られ、追うように視線走らせれば彼の含みが落とされる。
「甘い絆・・・・教えてあげるって言ったでしょ?」
「・・・・それの為にあの大量買い出しですか?」
「うん、よく分からないから必要なもの全部買ってきた」
「・・・・・・なんか不安、」
ポツリと本音を零してしまえばクスリと笑った彼が林檎を抱えて玄関扉を足で小突く。
多分私に開けろという事らしい。
それを確認してゆっくり立ち上がると彼の行く手を阻んでいた玄関扉をゆっくりと開けた。
うーん、気になる。
イヤホンから流れる音楽がメイン。
だけども時々何かが落下する音や『うわっ』と『やべっ』なんて彼の声が混じってくる。
その度にパソコンから彼へ視線をぐるりと動かすのに、そうして絡んだグリーンアイは心配するなとニッと笑う。
だけども振り返るたびに彼が汚れていくのは何故だろう?
そして思う。
キッチンに立つ彼が異常なくらい不自然だと。
そして彼が心配と言うよりキッチンの現状が心配と、
・・・・・私は一体何を食べさせられるのだろう?という一抹の不安。
今のうちに胃腸薬でも飲んでおこうか。
買い込んできた物を抱えてすぐに直行したキッチン。
何をするのだろうと自分も入り込もうとすればすかさずKEEP OUTだと締め出され、私らしく仕事でもしてろ。と介入を許さない彼。



