ああ、沈黙。
在席しているこの場の人間の声が消えればTVの音声の響くこと。
何やら出演者の笑い声やどよめきで決して命にかかわるようなニュースではないと把握する。
何だろうこの時間は。
まだ日が昇って数時間の休日の朝に、そぐわない行為でお互い欲を満たして、そして甘いピロートークでなく深刻な私の情緒不安定に夫婦会議。
彼に至っては下こそきちんと服を身に着けたけれど上半身は引き締まった肌を晒したままで、私と言えば恥部と言えるような肌は服で覆っているけれど下着は未着用のままなのだ。
なんか・・・締まらない。
そして重苦しい空気にどう動きを取っていいのかも分からず、目の前いる彼さえ後ろめたくてまともに見れない。
本当・・・・面倒な女よね。
「・・・・・・・なんか・・・とりあえず分かった」
「・・・えっ?」
きっと沈黙の内はどうしようもない私の言い分に腹を立てているのだと思った。
そうして口を開いた時にはどんな辛辣で嫌味な言葉が弾かれるのだと身構えていたほど。
なのに響いたのは予想外の響き。
それに驚愕して顔を上げれば口元に手を添えどこか空気を見つめるようにまだ考え込んでいるような彼の怪訝な表情。
でもすぐに数回頷くとその眉根は離れてグリーンアイがまっすぐに私を見つめる。
「つまり・・・・現状で望める・・・、確かめられる不完全でも夫婦だって感じる絆を得たいって事だ」
「・・・・・・・えっと・・・・・・・・・・まぁ、・・・・ん?・・・・・・・・・そう・・なりますか?」
半信半疑。
彼の視線が確定したのに、今度は投げられた言葉に私の視線が答えの採点をするように空を泳ぐ。
そしてぼんやりと彼の言い分を捉え、多分そういう事なのだろうと返事を返す。
若干そんな軽い事なんだろうか?と思うところもあるけれど、私の返答に『なぁんだ』とにっこり笑った彼がスッと立ち上がり歩き出す。
一体何をどう理解して何をしようとしているのかと、咄嗟に身を起こし膝立になったタイミング。
「あっ、・・・・ちょっと買い出しに行ってきます」
「はっ?・・・あ、はい・・・・えっ?」
「いやぁ・・・、とうとう・・・か」
「はぁ?」
何故かこのタイミングで買い出しに行くと宣言してきた彼に呆気にとられる。
どういう意図なのか。
疑問で投げかけても返されたのは一人どこか感じ入って口元に弧を描く彼の理解不能な言動。



