TVを捉えていた顔を柔らかく誘導され真正面に戻せば、じっと見下ろすグリーンアイに捕まって。
かといって非難するでもなく、すぐにスッと近づき口づけられた。
それに応じて目蓋を下すでもなく、でも抵抗もせずにされるがまま受け入れたキス。
でも・・・。
「・・・・・千麻ちゃん?」
触れ合っていた唇を離しスッと避けるようにそれをかわすとその身を起こした。
当然一緒に体を起こした彼が少し困ったように微笑みながら私に疑問を投げかける。
その目をちらりと確認しながら押し上げられていた服を下し素肌を覆うと。
「・・・・・・寒かったので」
苦し紛れだと自分でも分かる。
それでも見逃してくれるだろう。と、彼の甘さにこの時も流してもらうつもりだった。
「・・・・・・・俺とのセックスが嫌になった・・・」
「・・・っ・・・」
入り込んだ声に瞬時に顔を上げると真面目な表情の彼を捉える。
そしてすぐに否定を返そうとグリーンアイをまっすぐに見つめて口を開きかければ。
「・・って、わけじゃないんだよねぇ。今だって可愛く乱れてしっかり潤ってましたから」
「・・・・・セクハラですね」
「感度も抜群、俺への愛情も満タン、」
「貪欲ですから、後者は同調しかねます」
「こうして話せば夫婦漫才、」
「しているつもりは一切ないのですが、」
「でも・・・・」
「・・・・・・」
「ぽっかり抜け落ちてるものがある。・・・・・もうずっと、」
「・・・・・・」
「あの日からずっと、」
彼の目がそれが何であるのか探るように私を見つめてきて、思わず手で覆い隠したいほどの衝動に駆られ心が騒ぐ。
でも、隠すまでもない。
もうとっくに、
それこそあの日からずっと、
彼はその答えをぼんやりと得ているのだ。
それでもあえてこの瞬間まで押し黙って、時間の問題かと流してくれていた寛容の限界?
いや、
私が今引き金を引いたのか。
あからさまに答えを示すようにTVの映像に意識して。
「あんなに愛欲に貪欲だった千麻ちゃんがその時間に躊躇って、その余韻に落胆する理由は何?」
「・・・・あなたとのセックスは好きで、感じてますよ」
「そういう問題じゃない」
はっきりと言い切って真顔で見つめてくるグリーンアイ。
ああ、こういう時程仕事に類似する真面目な視線は狡い。



