「別にクリスマスだからって必ずしも祝う事でもないでしょう」
「だって夫婦として初のクリスマスじゃん。それなりに新婚夫婦として甘ったるいクリスマスの夜を迎えたいというか・・・」
「・・・・・・・・・一応、釘刺しておきますね。浮れたクリスマスカラーの服やら下着やらの着用促すプレゼントでしたら受け取り拒否とさせていただきます」
「チッ・・・」
「・・・・私に何をさせようとしていたのかしら?ダーリン」
嫌に熱っぽく微睡んだ眼差しで私の全貌を捉えて微笑む彼に、長年の危機感働き先に牽制。
すぐに返された舌打ちに危険予測の成功を感じ、カップのコーヒーを口に運んだ。
TVからさっきまで彼が歌っていたのと同じ曲が流れる。
この時期になるとどこに行っても同じような曲の繰り返しで、恋人や家族の意識を赤と緑で高めようとしてくる。
特別な日です。
恋人も家族もその絆を強めましょう。
そんな風に感じて押しつけがましい。
毎年そう感じて祝う事もなくあっさり暦を通過して終えていたそれ。
今年は・・・・・・・特に・・虚しく感じる。
祝う理由なんて・・・・・・。
ぼんやりとカップを口に当てたまま虚無に陥っていたらしい。
不意に伸びてきた手が私からカップを抜き取り、それに意識の回復と視線をその手の相手に向けていく。
まぁ、彼しかいないのだけども。
そして多少の気まずい時間。
微笑んではいるけれどどこか含みのある彼の姿にドクンと強く心臓が跳ねた。
「・・・・・考え事?」
「ええ・・・まぁ、」
「『ダーリンへのプレゼント何にしよう?』とか可愛い悩みだったら大歓迎」
「今日の夕飯何にしよう?が目下の悩みです」
「お答えしましょうか?」
「是非、」
「・・・・・・千麻ちゃんが食べたいです」
「・・・・・・・・・・・・それは、今現在の気持ちでは?それに起きてから1時間ほどしか経ってませんが、」
「うん、・・・・・ダメ?」
「ダーーーー」
【メ】は飲み込まれた。
有無を言わさず素早く重なった彼の唇に。
カツンとコーヒーカップを置く音がする。
さっき私から抜き取ったカップだろう。
欲を煽って気分を高めるように、絶妙な加減で甘いじゃれつくようなキスを与える彼。
巧みだと思う。



