Side 茜
「あ~・・・やっぱり降ってきたかぁ・・・」
マンションを出た時から何となく降り出しそうな空と空気に懸念はしていた。
それでも早めに行って帰ってくれば間にあうかと思いそのまま近くのコンビニに向かった結果。
着いて目的の物を購入し始めた時に響く雨音に落胆。
そうして理解していたのに外に出て、その降りっぷりを確認して更に落胆。
一応俺の着ている服にフードはある。
小雨なんかであればそれでやり過ごせたのかもしれないけれど、まずこの本降りはきついだろう。
コレは本気で走って速攻でシャワー浴びるしかないかな。
そんな事を頭で思いつつもなかなか飛びこむ決心がつかず無意味に黒い空を見つめていれば、新たな来客がきたのを感じすかさずその身を邪魔にならない様にずらした。
特に意識して確認したわけじゃない。
ああ、誰か来た。
いいなぁ、傘持ってて。
そんな感想で横目に流していたのに、傘を畳んだのに一向に隣から消えない気配にさすがに視線を横に移せば捉えたのは小柄な女の姿。
フードをしっかり被りその隙間から長い髪が覗く。
よく顔の見えないその姿を適当に流し、そろそろ雨の中に身を投じようかと体を出しかけた瞬間。
「・・・・どこに行くつもりで?」
響いた声とすかさず服を掴まれ引き戻された体。
そして馴染みある声に半信半疑で隣にいた女に視線を移すと、フッと上がりやっと明確になったその顔。
それでも一瞬疑ったのは記憶した姿と違いすぎたから。
息を飲む。
一瞬雨の音も聞こえなく成る程。
俺を上目遣いでフードの下から大きな目を覗かせる無表情が綺麗だと思った。
見慣れているのに。
でも違う。
目にかかる厚めの前髪と胸元まである長い髪。
それだけで随分印象が変わるものだと思った。
そして・・・いつもよりどこか幼く映る姿に純粋に見惚れ動悸。
「・・・・・・千麻・・ちゃん?」
「はい、」
「ど、・・・どんな魔法?」
「・・・・ウィッグという魔法でしょうか?一応パーティ事様に様々なアイテム持ってますので」
そう淡々と言い切った姿で間違いなく本人なのだと理解する。
ああ、それでも・・・。
ちょっと・・・焦る。
だって・・・・だってさ・・・・・。
ごめん・・・。
どツボかもしれない。



