優しく。
酷く優しく腕に力が込められ二人の隙間がしっかり塞がる。
しっかり引き寄せるのに潰してしまわないように、壊れ物を扱うように抱きしめられて。
全身で私を慰めるような彼のぬくもりに再び嗚咽と頬を流れる涙。
そんな私の頭を柔らかく撫でる彼の手にも癒されるのに切なくなる。
「・・すみま・・せ・・ん・・・」
「だからぁ、・・・千麻ちゃんが謝る事じゃないでしょ?」
「うっ・・・・・ふぅぅっ・・・」
「泣きたいんだね・・・・・」
あなただって・・・・本当はショックでしょ?
私が泣いているから気丈に振る舞っているだけで・・・、あなたの方がずっとこの結果を楽しみに待っていたじゃないですか。
なのに・・・・私はその結果を生み出すことが出来なかった。
彼が望む未来の確定を・・・・してあげられなかった。
私自身の本当の決意も・・・・後回しだ。
でも・・・違う。
決意とか未来とか、そんなのは今はどうでもよくて・・・。
ただ純粋に・・・悲しい。
今はただ、
彼との子供が出来ていなかった現実が悲しい。
そしてどこかで思っていたのだ。
もしあの奇跡的なただ一度の行為。
私達ならその奇跡も当たり前に起こせる、
それこそ、そんな運命的な相手なんじゃないのか。・・と。
そうしたら・・・・・あなたを愛し続ける理由にもなったのに。
あなたと・・・・、
さっきの雛華さんと芹さんの様な一瞬を迎えてみたいと、どこかで羨望していたのだ。
あの・・・手を繋いだ瞬間に。
そして・・・・現実は甘くないのだと思い知った。
あまりに甘い夢だったから・・・覚めた衝撃が大きくて悲しい。
悲しい・・・・。
悲しい・・・・・・・。
「俺・・・・・今、嬉しいかも・・・・・・」
私の感情に相反する言葉が柔らかく耳に入り込む。
信じられない響きに思わず密着していた体を離して言葉の真意を求める。
きっと、今の私は酷い顔をしている。
いい歳してぐしゃぐしゃに涙で顔を汚して。
でもそんな意識も働かない程目の前の彼を見つめて答えを求めてしまう。
目の前で方眉下げ子供の様に微笑む彼を。



