「ところで・・・・・ひーたん、先月俺と飲みに行った時の事覚えてる?」
「・・・・・・・・ああ、うん。2人で結構飲んだ時だ」
「あの日さぁ、家に送り届けた後の記憶ってある?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ない」
「やっぱり、・・・・・・・・でも、芹ちゃんはあるでしょ?」
そう言ってどこか悪戯に芹さんに微笑む彼に彼女が気まずそうに小さく頷いた。
あっ・・・・・、
あーーーーーー、はいはいはい・・・・・。
何か、何か・・・・・・・見えてきたかも。
と、徐々に霧の晴れていく状況に何となくその姿を捉えて小さく頷いた。
その様子をしっかり捉えた彼が私にも意地悪く笑ってくる。
ああ、確信・・・。
「結局・・・・・何で俺怒られてたの?」
ここまで来ても話が全く見えていないらしい雛華さんが、今も酔いと戦っているらしく片手で額を押さえながら怪訝な表情で彼に返す。
まぁ、もしこれが私の仮定に当てはまる物なら、雛華さんが理解できないのも頷ける。
「ん~?ひーたんが不誠実で無責任で無計画な男だなぁ。って話」
「はっ?喧嘩売ってる?」
「・・・・・・じゃあ、本当に・・・・雛華さんは記憶にないんですね・・・・・」
「えっ?・・・・・芹ちゃん?」
改めて確信を得たらしい彼女の脱力。
そりゃそうだろう。
その意思なく、記憶すらない行動に自分はずっと憤りを抱いていたんだ。
そんな彼女の背中を宥めるように摩る彼の姿。
でももう私の憤りは働かない。
むしろ・・・・・しっかり支えろ的な。
「ごめん・・・・俺理解不能」
「ちなみに・・・・、ひーたんの誠実さを今確認してもいいかな?」
「えっ?」
「夜の夫婦生活に雛華は誠実だったって宣言できる?」
「何それ?宣言するよ。俺は子供欲しいけど、芹ちゃんの気持ちが無いのに作るわけにいかないし。ちゃんと毎回避妊・・・・・・・・・・・・・」
静寂。
不自然な言葉で訪れたそれと各々の不動。
そして一番に俊敏に動きを見せたのは不自然な言葉のまま不動だった雛華さんだ。
下を向いていた顔がすばやく上がって芹さんを見つめる。
酔いも一気に醒めたらしい彼のグリーンアイが動揺と期待で大きく揺れたのを見逃さない。



