「芹さんが怒っているのは・・・・もうその内容じゃなくて・・・、なかなか理解してもらえないもどかしさからですよ・・・」
「・・・・・」
「しかもそれに雛華さんからの疑いが上乗せされたから・・・・」
疑い。
そう・・・・まだ、【疑い】だったんだ。
決定的な事も押さえていなかった疑い。
なのに・・・・。
ああ、私も大概馬鹿で感情的で抜けている。
そしてその怒りが一方的すぎると理解していたのにここまで引っ張って騒ぎを大きくした自分に心底呆れる。
結果・・・・馬鹿なヤキモチのなせる業。
何・・・してるんだろう・・・。
解決法なんて馬鹿馬鹿しい程はっきりしている。
全員、意地を張らずに答えを口にすればいいだけなんだ。
『話し合おうよ』
ああ、そうね。
いつだってあなたは真っ先に解決法を口にしているのに。
馬鹿は・・・・私。
何だかすっきりと自分の中で折れて砕けた感情でクスリと笑う。
「やっぱり、戻って話し合いに行きましょうか?」
そう提案響かせ雛華さんに振り返っていき、癒しを与えるグリーンアイと絡んだ。
筈だったのに。
グラリと揺れた視界と背中に感じる固い感触。
視界に捉える見慣れない梁。
そしてそれを遮るようにさっきまで隣り合っていた彼に見下ろされ、いつだって優しい筈のグリーンアイがどこか鋭く私を射抜く。
まるで・・・・彼の視線の様だと感じた。
何が起こっているのか。
一瞬唖然として不動になって、すぐに理性を呼び戻しての状況判断。
体に馴染みのない重みを感じて、一生こんな角度からは彼を見ることはないと思っていた視点を体感している。
何故?
それこそ・・・・自棄?
「雛華・・・さん?」
「・・・・・・・寂しいよね?」
「・・・・・・えっ?」
「・・・・・・ね、・・・千麻ちゃんって・・・・可愛い」
そう言ってニッと口の端を上げた雛華さんが妖艶で、確実に本来であるなら私には見せない姿だと理解する。
そしてもう一つの理解。
チラリと視線をワイングラスに走らせ、確かめるように雛華さんのグリーンアイを見つめ返した。
「雛華さん・・・・・・もしかして・・・・酔って・・・ます?」
「・・・・さぁ、・・・・・・どう思う?」
酔ってる。
確実に本来の雛華さん不在の酔っ払いだ。



