ああ、もう・・・。
結局は集中できない。と入口を塞ぐように立っていた彼を押しのけ、リビングのインターフォンで応答する。
宅急便か何かだと思って応答したそれからは予想外にも愛らしい声の響き。
渦中。
そして追って私の背後に立った彼を振り返り、冷めた眼差しでインターフォンの前を仰々しく譲っていく。
「あなたのお姫様の来訪ですよ」
「千麻ちゃん・・・・」
「早く腑抜けた笑顔で出迎えて差し上げたらいかがでーー」
『芹ちゃん!!』
正直驚いた。
それは目の前で私を睨んでいた彼も同様。
見合わせたお互いの顔が驚愕に染まったのを確認してからほぼ同時に2人でインターフォンを見つめてしまった。
そして今ほど彼女の名前を叫んだ来訪者は言わずもがな・・・だ。
『ちょっと、本当に意味わかんないって!何でそんな風に怒ってるの?!』
『だから言ってるじゃないですか!ご自分の胸にーーー』
『大好き!もう全力で好きしかないから!!』
『そんなの嫌って程知ってます!!』
『嫌・・・なんだ・・・、やっぱり茜ちゃんが好きなんだ・・・』
『はぁっ!?何でそう話が飛躍するんですか!?』
軽く反省。
なるほど・・・。
他者からすればこんな風に感じる夫婦喧嘩。
言い方は違えど言ってる内容は類似する言い争いに自分たちを振り返って頭を抱える。
「人のマンションの入り口で・・・・」
彼が多分私と同じような心情で頭を抱えると溜め息をついてから今もちまちま言い争っている2人に声をかける。
「とにかく・・・・・2人とも俺の部屋集合・・・」
そう告げて下の騒ぎを自主回収。
通話を終了させた彼がスッと私を見つめてきたのにフンと鼻を鳴らして顔を背けた。
「何となく・・・・分かってきたかも」
「焼け木杭に火・・・・」
「・・・っ・・・・まぁ、いいや・・・」
私の言葉に瞬時に反論の姿勢を見せた彼が、結果グッと押し黙って言葉を飲み込んだ。
らしくない。
反論もなしって・・・・どういう風に取ればいいんですか?
これも簡単に聞けばいいのに。
こうして感情的になるほど間違った反応の選択をしてしまう。
理解していても冷静な判断を出来ないで・・・。
ああ、だから・・・・恋愛は嫌いなんだ。



