探偵ごっこの継続。
どう見ても怪しい2人の行動を追いかけて探る平日の昼間。
相変わらず彼女に親密に腕を回す彼の姿を見つめ、今すぐにでも問い詰めて罵倒してやりたい衝動に駆られる。
いやいやいや、でもまだ特別な決定打もない。
さっきのキスも接触しているかどうか未確認のそれ。
全てがうまい具合に悪く重なった偶然かもしれないと小さな希望も抱いている。
雛華さんと言えば終始無言で2人を追って、サングラスの奥の目はだんだん私を捉えることもない。
嫌な空気だ・・・。
どんどん強まる不安。
不安は不安を呼ぶのに。
ただでさえ不安を押し殺しているこの時に不安の要素を強めないでよ。
感情裏腹な晴天の下を歩いてしばらく、やっと彼が携帯を取り出し操作する姿を捉えて数秒。
驚いたのはポケットの携帯が着信を示して震えだした事。
表示は当然の事ながら自分の視界に小さく捉えている彼の名前。
立ち止まってそれを確認し、どうしようかと雛華さんに視線を走らせれば、無言のまま雛華さんの指が応答ボタンをタップした。
あっ、と思う間もなく強制通話。
しぶしぶそれを耳にあて、ごくりと唾を飲み込むと声を響かせる。
「はい、」
『あっ、千麻ちゃん?ちゃんとお昼食べたぁ?』
能天気な響き。
それこそ会社を出る際のままのテンションであの時の会話の継続を示す声に、もし会社でこれを聞いたなら特別違和感なく受け入れたのだろうと思ってしまう。
でも、
芹さんに腕回しながらする心配ですか?
瞬間的に悲哀より怒りが勝る。
何してるんだこの野郎!と怒鳴ってやりたい。
そう憤る感情を必死に呑み込むと、取り立てて異常はないと平静を装う。
「・・・・・すみません。微々たる問題発生でお昼食べ損ねてます」
『うわぁ、約束破り~。いけないんだぁ』
現状でお前に言われたくない。
「すみません。でも問題も徐々に原因解明に向かっておりますから」
『まぁ、千麻ちゃんならしっかりと問題突き止めるんだろうけどさ』
「はい、恙なく、隈なく、発見した際には変な後腐れ無いように解決しようかと」
『ははっ、有能~』
多分言葉の真意を知らない彼が楽天的に笑うのに、こっちは怒りからくるよくわからない笑みが口元に浮かぶ。
そう、決定的な解明まで突き止めてあげようじゃないダーリン。



