一瞬、冷静な自分の言葉を聞き入れれば、
『何をしているのか?』
と頭に響く。
「・・・・・・楽しそうですね」
「・・・・・・最近あんな笑顔見てないかも」
うっかり見たままの感想を告げれば、隣でひどく落胆する雛華さんに、しまった。と思って息を吐く。
GPSと言う文明の利器で得た2人の現在地は別に高級店でもなく普通のカップルやOLなんかが利用するカフェ的な店。
遠巻きに見る2人はどうやら食事自体は終わらせ今はコーヒーブレイクと言ったところだろうか。
時々手元のカップを口に運びながらにこやかに会話する姿は事情を知らなければカップルにしか見えない。
そして2人の指で光る指輪。
こうしてみるとあの2人が夫婦みたいだな。
そんな感想も浮上したけれどこれ以上隣の人の傷をえぐってはいけないと心にとどめた。
でも・・・・馬鹿らしい。
やっぱりただの同窓会に過ぎないじゃないか。
そう判断を下すとまっすぐに身を立て直してその場を離れ始める。
私が動き出せば食い入るように2人を見つめていた雛華さんも慌てて身を翻して私の背中を追ってきた。
「ちょっ、どこ行くの?」
「・・・・戻ります。仕事がありますから」
「えっ、いいの?あの2人!」
そう言われ確かめるように再度遠くにまだ映る2人を捉え目を細めてから雛華さんを見つめた。
「仲良しな歓談タイムに何か問題が?」
「だって超楽しそうだよ!?イライラしたりしない?」
「・・・・・・特には・・・」
「ええっ!?俺めっちゃ切ない!」
「私は今のこのバカみたいな探偵ごっこしてる自分が客観的に切ないです」
「もうさ、プライド関係なく本音言っちゃいなよ!茜ちゃんが好きなんでしょ!?」
「好きですよ」
「・・・・・・」
「それが何か?」
「・・・・・・・・・・・・・・ごめん、なんか照れた」
「はぁ・・・」
なんだか一人熱くなって問い詰めてきた彼に淡々と無表情で肯定を返せば、一瞬で押し黙り徐々に赤みが差す雛華さんの頬。
そして言葉での羞恥。
何故だ?
雛華さんからしたら否定が返されると予想されていたのか、私の羞恥すらない宣言に見事被爆しこの現状。
サングラスの向こうの目はきっと面白いくらいに動揺しているのだろうと予想出来るほど。



