つまりは・・・・理由の当てはまらない雛華さんは芹さんが逆に浮気しているのではないかと、そしてその相手はまさかの元婚約者である我が不逞な夫だと。
「それはないかーーー」
「今現在デート中」
「私にははっきり告げていきましたから」
「茜ちゃんの凄いところは笑顔でさらりと人を翻弄するところじゃない?」
「・・・・・さ、さすがに・・・恋心ではないかと・・・」
「でも・・・初めて好きになった女の子だし?開放的な2人きりの時間にどんな間違いが起きても不思議じゃないよねぇ・・・」
「っ・・・・・・」
「・・・・ね?」
反論できねぇ。
言われてしまえばなんだか全て当てはまりそうな雛華さんの冷静な突っ込み。
恋じゃない?
それは確かだ。
でも元々は相思相愛だった関係で、ちょっとの駆け引きでいくらでも動きそうな感情。
いや、ああ見えて彼は常識ある人間であるし、まさかすでに人妻な芹さんに本気で何かするような馬鹿ではない筈。
でも・・・・、
昨夜・・・・デレデレでしたね。
そして・・・・さっきもご機嫌で出かけていきましたね。
ランチタイムだからと気にも留めてませんでしたが・・・、芹さんが雛華さんに秘密裏に設けられた密会なら・・・・。
ヤバい・・・・不安。
「・・・・やっと危機感感じてきた?」
「すみません。奥様の貞操の危機かもしれません」
「・・・・・相変わらず自分の不安だって認めないんだね」
「今はその論争はどうでもいいです」
こんな時でも気になったらしい私のプライドを見事拾い上げた雛華さんに背中を向ける。
そうしてまっすぐにデスクに向かうとパソコンのロックを解いて素早く手馴れた操作。
タタタ、っとキーボードとマウスを動かし画面が定まると携帯を取り出す。
そして自分のアプリも起動。
「・・・・・・行きましょうか」
「さすが有能秘書様。旦那様の居場所は把握ですか?」
「旦那というより副社長の居場所でしょうか」
そう言って鞄と携帯を持つとチラリ雛華さんを振り返り同行を急かす。
何とも言えない口元の笑みは何に対してなのか。
それでもゆらりとソファーから立ち上がるとやる気なさそうに歩き出し私の隣にスッと立つ。
「・・・・ご協力、痛み入ります」
「いえ、白昼堂々の不誠実な行為が発覚すれば社名にも傷がつきますので」
お仕事です。
そんな意味合いで切り返すと雛華さんが本当に小さくクスリと笑う。
多分、素直じゃない。とでも言いたいんだろう。
でもそんな含みも素知らぬ顔で歩き出すとお互いの配偶者の動向を探りに、皮肉にも晴天の下にその身を晒した。



