こんな昼下がりに仕事以外の内容で雛華さんと2人きりになるのは初めてかもしれない。
とりあえず消沈落胆している彼をオフィスのソファーに座らせると、先程彼が口にした懸念事項に触れていく。
それでも今にも崩れ落ちそうな彼にかなり躊躇いながら。
「えっと・・・、とりあえず・・・芹さんに嫌われたかも?という問題に触れても?」
刺々しくならないように自分なりに気を使った口調で切り出せば、サングラスでよく分からないけれどとりあえず呆然と不動になっていた姿が数回頷く。
「その・・・芹さんに嫌われたというのは?」
「・・・・何か、少し前から避けられてるみたいでさ」
「気のせいでは?」
「・・・・・・千麻ちゃんもご存じのとおり俺たち暇さえあればべたべたの密度高い2人なんですよ・・・・」
「すみません。頭に置くの忘れてました」
「だからさ、避けられてるとかは一目瞭然なんですよ・・・」
そう言って自分の言葉での再確認に見事打たれて頭を抱える姿が重い重いため息を吐く。
相当ショックなんだな。
そりゃそうか、念願かなって両想いになった彼女と新婚早々こんな風にトラブっていれば。
常日頃トラブっている私達夫婦とは違って・・・。
「その事を彼女には?」
「聞いたよ・・・・」
「何と?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・『ご自分の胸に聞いてみては?』と、返されました」
「・・・・・・・・・・聞いてみましたか?」
「聞いたけど・・・・俺の返答はいつだって『芹ちゃん大好き』としか答えてくれませんでした」
「ごちそうさまです」
「芹ちゃん大好き・・・」
「私に言われても・・・」
結論。
今の会話で理解できたのはとりあえず雛華さんの言う芹さんが避けているという言葉の確証。
そして多分雛華さんが気がついていない何かに芹さんは怒りのポイントを置いている。
避けるほどに?
何だろう?
もし私が避けるほどの理由を上げれば・・・。
「浮気でもしましたか?」
「むしろ・・・・・今浮気されてる」
「はっ?」
「千麻ちゃんももう少し危機感感じた方がよくない?」
「一体何の・・・」
「・・・・今さぁ、俺の愛しき奥様が俺に内緒で密会してるのが千麻ちゃんの旦那様で元婚約者の茜ちゃんだって事」
「・・・・・・」
もどかしさに眉根を寄せた顔がやっと上がったと思ったら、多少の苛立ちも垣間見える声音が驚きの一言を放った。



