素直じゃないなぁ。と言いたげに悪戯に微笑んだ彼が、どこかテンション高めに浮かれて部屋の扉に向かう。
その後ろ姿を見送って、扉の開閉音と彼の姿の不在を確認するとようやく深く息を吐き出した。
片手で額を抑えて目蓋を閉じる。
そして彼の言った現状を反芻。
確かに・・・確かにだ。
私はいつの間にか自分の言動による彼の反応を気にしている。
そして言葉を選んで遠慮して、簡単な答えすら遠回りな言い方をしようとしたり。
今はいい。
それは私生活の微々たる会話の上だから。
でも・・・・・仕事にもそんな反応を取るようになったら・・・。
それこそ・・・・・・私が不安する形になり兼ねない。
「切り替えて・・・・千麻」
それが出来なければ両立なんて出来ないのよ。
私情と仕事、それを混ぜたら絶対に上手くいかない。
そこをしっかりと自分で意識して動かないと・・・・。
彼を望むなら・・・・、もしかしたらもう決定されたかもしれない未来の形に後悔しない為にも。
自分の双眸に光を通し、同時にゆっくり腹部を撫でる。
こればかりは読めない未来。
でも・・・あと僅かで分かる結果。
ああ、やはり・・・・。
ねぇ、ダーリン。
後悔じゃないの。
でもあなたはそれこそ不安を見せるでしょうから言わないけれど。
やっぱり・・・・・不安なの。
恐くて、焦って・・・・・確かに楽しみな夢見る感情もあるのに、今は負の感情に圧されて・・・・。
ねぇ、どうしよう?
もし・・・・あなたとの子供がこの体に産まれたと知ったとき。
心から愛せるか・・・・今は不安。
愛したいから・・・・・逆にそれが不在な心かもしれない自分に不安なの。
これは・・・・・・絶対に言えないけれどね。
夫婦として進歩。
でも・・・・まだ私の心は不安定なんだ。
彼を愛したと自覚しても不確定な未来の図。
契約は今でも大きく私の心の支えで逃げ場になっている。
『とりあえず・・・、黙って愛されておこうか?』
ああ、
そうね・・・・。
今は・・・・・あなたのその言葉が即効性のある精神安定薬だわ。



