ーーーーNEXT MORNINGーーーー
いくら関係性が深まろうが巡りくる朝は同じ。
いつだって私が寝起きの悪い彼より先に起きて支度をし、次いで彼のコンディションを良好な物とすべく朝食を準備する。
慣れた手つきとペースで作り上げ、盛り付け終盤コーヒーメーカーからも香ばしい匂いが立つ頃に彼がのそりとその姿を現してくる。
そして言うのだ。
「今日も完璧だね千麻ちゃん」
その声に小さく反応し視線を軽く移すとこちらもお決まり。
「おはようございます」
「おはよう、ハニー」
当たり前のやり取り。
むしろこの流れがないと逆に調子が狂うほど。
毎度のお決まりのあいさつでも交わせば満足げに微笑んだ彼がキッチンから離れ、そのままリビングに行くとケージに入っているおチビさんに近づく。
「おはよう【ネロ】~」
トントンと指先でケージを小突いてにこやかに我が家のチビウサギに挨拶をする彼。
名前は結局【ネロ】
黒を意味する外国語で定着した。
こうしてこの部屋に存在する家族に挨拶を済ませた彼がようやくキッチンに対面するカウンターに座り、そのタイミングを図って温かい朝食を目の前に並べた。
今日もこうして平穏で完璧な朝を始めたわけだ。
カウンターに並んで朝食を食べTVのニュースを耳に流す。
一通り目の前のお皿を空にしてコーヒーを口に流し込み一息つき、それも当たり前のように確認して口にした。
「今日のランチと夕食はどうしますか?」
こうして彼の意見を朝のこのタイミングで確認するのも自然な流れで、特に何の含みもなく口にすればすぐに反応した彼が『あっ』と小さく声を漏らす。
これは非日常的響き。
思い出したようなそれにようやく彼に視線を移すと、まさに忘れてた。と言いたげな表情。
でもそれに悪意や焦りはなく、私を振り返ると何の躊躇いもなくそれを口にした。
「今日さぁ、ランチ外に出てきていい?」
「お一人でですか?」
「ううん、芹ちゃんと」
「・・・・・」
「昨日電話で約束してたの忘れてた」
いやぁ、危ない危ない。
そう言いたげに携帯を手にして苦笑いを浮かべる彼。
そこに一妻であるなら突っ込むべきなのか・・・。
『何、元カノと2人きりで会う約束してるんだ!!』とか・・・。



