まるで朗報待ちのように期待に満ちたような姿で私を愛でる彼に複雑な感情を抱き、更に言えば動揺してらしくもない苦笑い。
当然それを見逃す彼でもなく、その瞬間に視線が絡み確かめるように覗き込んでくるグリーンアイが僅かに色を変えていく。
嬉々から疑念に。
「・・・・・・・千麻ちゃん、」
「・・・はい、」
「今更・・・・・・あの賭けに後悔してないよね?」
「・・・・・・・」
「人と話すときは視線を逸らさないが鉄則だったんじゃなかったっけ?」
「・・・まさかあなたにそんな事言われる日が来ようとは・・・、屈辱的な」
「はいはい、屈辱だろうが何だろうが話逸らさないでよ」
ああ、狡い。
さっきまでは子供の様な反応で無邪気にしていたくせに、こういう時ばかり職場での空気で痛い事を追い詰めてくるなんて。
気がつけばまるで仕事のミスを指摘されているが如くな空気に満ちていて、思わず外した視線と誤魔化したような言葉遊びが彼の逆鱗を掠めたらしい。
疑念から不満。
グリーンアイが鋭く光って鋭利になり、私を逃がさぬように刺しとめる。
痛いくらいの視線にしぶしぶ自分のそれを向けていくと、そこだけは誤解するなと言葉を返した。
「一つ・・・・」
「うん、」
「誤解していただきたくないのが・・・・、後悔ではありません」
「【では】・・・ね。まぁ、いいや、続きをどうぞ」
「色々複雑な補足はいたしたいのですが・・・・簡単に言えば・・・【不安】がこの場合一番適切かと・・・」
「【不安】?」
「【不安】です」
「はぁぁぁ・・・・・、何が?」
何よ、その『またか』みたいな重い溜め息は。
あからさまに溜め息をついて眉根を寄せた彼が体を起こしてベッドに座り直す。
この空気で浮かれた話でない以上同じように対面すべきかと体を起こし、問われた内容に対する答えを自分なりに頭でまとめ四苦八苦。



