「・・・・・千麻ちゃんの方がよっぽど夢見がちだよ」
「夢を語れと仰ったのはあなたです」
「うん・・・・それは、・・・・是非とも叶えたい夢だけど・・・」
不意に柔らかい笑みに多少の陰り、そして言葉を濁らせた彼が困ったようにクスリと笑う。
充分な筈の甘さの中に何の苦味があったのか。
疑問に眉寄せ至近距離の綺麗な緑に訪ねて見つめると。
「・・・・・実現可能10%の夢」
そう告げ私の頬を悪戯に指先でくすぐると、自然と近づいていた距離をスッと離した。
まるで夢に酔いすぎないように。
これ以上は夢でなく期待の枠に入りそうだと彼が懸念した一線。
珍しく、彼が理性的に反応したのに。
ああ、私も大概彼が言った通りに夢見がち。
ドリーミーなのだ。
気がつけば両手をついて身を乗り出して、彼の驚いた顔を至近距離から覗き込む。
目の前で揺れる緑が綺麗で・・・・・。
疼く独占欲。
欲しいと望む。
でも自分には決して叶わない染色。
「・・・・・・10%・・・・賭けてみますか?」
「・・・・・・・はっ?」
瞬時に動揺に揺れる緑の瞳孔が開く。
揺れるそれすらも綺麗だと感じ、ゆっくり驚きで軽く開いた彼の唇を重ねて塞いだ。
そっと触れて啄んで、更に密着させようとした瞬間に彼がスッと身を引いた。
そして捉えたのは酷く困惑している彼の表情で、今ほど重なっていた唇をその手で押さえながら視線を泳がせる。
ちょっと待って。そんな風にしばらく戻らぬ視線が言われた言葉の意味を思案しているようで。
ようやく彼なりに答えを出すとその採点求めて私を見つめた。
「・・・・・・賭けるって・・・そういう意味?」
「・・・・そういう意味とは?」
「一つしかないでしょ?・・・・・俺との・・・・子供作ろうって事?」
多分間違いないと確信を得て口にしたのだろうけれど、やはり信じられないとその表情は動揺に満ちている。
それをこちらは取り乱すでもなく見つめ、ゆっくり乗り出していた体を戻すと防波堤の冷たいコンクリートの上に座り直す。
そして確かめるように自分の指先を腹部に走らせ自分でも言葉の責任を確認する。
「・・・・・望んで挑もう。・・・ではないのですよ」
「・・・えと、・・・どういう・・」
「・・・・・・私も、昨日からの非現実的続きで変な夢に引きずり込まれているんです。・・・だから・・・、今だけの自分の奇行」
「・・・・・・千麻ちゃん?」
そう、馬鹿になっている今日だけの無責任な夢の提案。



