とりあえず確かめるようにその金属に触れていれば、私の反応にワクワクと期待しているらしい彼が覗きこんで目を輝かす。
どう?どう?
そんな眼差しでじっと見つめ返すとぽつり・・・。
「これ・・・質に入れたらいい値段しますよね?」
「千麻ちゃん・・・・」
「安心してください、」
「うん、冗だーー」
「分からない様にイミテーションつけておきますから」
冗談だよね~?とばかりに声を響かせた彼に真顔で言いきると、さすがにショックだったのか微妙な笑みでそれを隠す彼。
でもどうやら言葉ばかりが思いつかなかったらしく無言が続くから面白い。
そして再度確かめるようにリングを見つめる。
多分・・・プラチナ。
石も小さいけれど彼の事だから質のいいそれだろう。
シンプルだけども値段は恐ろしいくらいに張るであろうリング。
ああ、本当に馬鹿ですね。
「永遠を誓うでもないのに、私に大枚はたいてどうするんですか?これに見合う見返りなんて私は返せませんよ?」
無駄な投資だと告げ彼を見つめれば、私の言葉をしっかり聞き取った後にニッと微笑む。
「じゃあ、5年分の俺への奉仕と実績への報償?千麻ちゃんの実力や実績はこんなものじゃ足りないくらいだけど」
「・・っ・・・」
「その中にその緑程度に愛も認めて」
そう言った彼の指先が緑の石を選んで再び軽く触れる。
悔しい。
愛全般で攻めてこられたらすっぱり切り返していられたのに、私は自分の能力を認められるのに滅法弱く隙が出来やすい。
それでも負けじとキッと睨み上げると、それすらも今の彼には満足な反応だと微笑まれた。
そしてそのまま後ろを振り向いた彼。
「で?いつまで君たちは休憩時間延長してるの?新婚夫婦の仲良し邪魔してたら火傷どころじゃ済まないよ?」
邪魔だから消えろ。
そう言いたいのですね。
ああ、むしろ・・・・私も彼女たちと一緒に退散してもいいでしょうか?
ほったらかしにされていた彼女達が不意に注目を戻され気まずそうにバタバタとその場を去っていく。
どこか羨ましい気持ちで立ち去る彼女達を見つめていれば、気配が自分と彼だけになった瞬間。
あっ・・・甘い。
瞬時にほろ苦い匂いに包まれクラリと揺れる。
ああ、私も相当弱っているのか、感情が崩壊したままなんだな。



