「何で、あのタイミングでバイクに誘導したと思います?」
「・・・・千麻ちゃんの意地の悪いからかい半分な理由なんて知らない」
好条件の不貞腐れ具合。
それに気がついて視線を信号に向けていく。
多分もう少しで青に変わるのが横の信号の黄色表示で理解する。
「好きな子は苛めたい」
「はっ?」
はっきりと聞こえるように自分のSっ気強い言葉を告げると、多分『好きな子』に反応した彼が軽く探るようにその身を捻る。
そう苛めたいの。
全て全て、この瞬間を狙ってなのよ。
黄色から赤に。
「欲情したから・・・・・抱き付きたくなったのよダーリン」
「っ・・・・・千麻ちゃーー」
「ほら、青よ。・・・ダーリン」
「っーーーーーー、意地悪!策士ーー!!」
思わず噴き出した。
私の言葉に見事反応し、勢いからすれば『抱きしめたい』そんな雰囲気に満ちた彼にすかさず進行を促せば、悔しそうに表情歪め叫んだ彼が八つ当たりのように急発進。
もどかしさ全開のスピードと風が彼の感情その物だと感じて可笑しくて笑った。
「・・・・・さすがに飽きますね」
「うん」
「何で海まで来てメロンパン食べてるんでしょう私達・・・」
「当分この黄色は見たくないかもね」
防波堤に隣り合って座って、穏やかで濁りが少ない海を見る。
日光がいい感じにきらきらと反射して、本来は黒に近い濃紺の海が白く見えるほど。
そして悲しいかな朝の失態の残骸を口に運んでつい本音を漏らしての苦笑い。
朝からその味ばかり強烈で、彼が言うとおりに当分はこの甘さは避けたいほどに。
「今日を一言で語るなら・・・・メロンパンだよね」
「まぁ、他に際立った印象もなかったデートですから」
「・・・・・ねぇ、それってまたお得意の意地悪ですか?」
「はっ?」
「メロンパン以下かよ・・・」
彼が言った言葉に賛同しただけなのになぜか顔をしかめた彼が皮肉な微笑みで私を見るのに怪訝を返す。
でも気がついたそれに納得し、それでも素知らぬ顔して的外れを口にする。
「ああ、可愛かったですね。赤ちゃん」
「違う!いや、あの赤ちゃんは可愛かったけど、そうじゃなくて・・・・・っ・・・・、はぁ・・・いいや」
熱く反論の声響かせた彼だったけれどどうやら自分の反応が私のご馳走だと理解したらしく、諦めたように溜め息をつくと手に残っていたメロンパンを口に放り込んで会話の打ち切り。



