「・・・・・はぁ・・・なら、俺が仮説を立てようか?」
痺れを切らした?
溜め息交じりに提案された言葉に視線だけを向けて口を閉ざせば、それを可と取ったのか視線を再び画面に移していった彼がゆるゆると【仮説】という内容を口にし始める。
「まずは・・・・俺的な利得思考な仮説。始まりは悲しいかな皆無だった愛情。あるのは同情的な犠牲の精神?まぁ、そんなところだったでしょ?」
苦笑いで事の始まりを口にし始めた彼に反論の言葉はない。
反論するまでもなく寸分違わぬ事実だ。
だからこそ黙ってその言葉を流してみると、肯定と取った彼が言葉を続けた。
「ここからは・・・都合のいい解釈。そう理解して反論は挟まずに聞き流してよ」
「・・・・はい」
「・・・・・・・人間・・・環境や情には簡単に流されて飲まれやすい。・・・一緒に生活していれば衝突もあれど愛着や情が沸く」
「・・・・」
「しかも・・・・・男女だもん。たとえさ、5年も一緒にいて恋愛感情なかった2人でも同じ物食べて、同じ空間で生活して、同じベッドで寝てたら・・・・意識して当然だし、愛情芽生えて当然だよ」
一瞬、急いた感情が口を挟みかけて、でもすぐにそれを防ぐようなグリーンアイが無言でそれを鎮圧する。
黙って聞け。
そう制されるとゆっくり息を吐いて自分の心を宥めていく。
私の聞く姿勢の継続を確認できるといつの間にか撮影タイムが終了し表示されたそれらを選び始める彼。
出来上りに時々噴き出して何枚か選別した彼がそのまま手にしていたタッチペンで映し出されている写真に色々描き足す。
「・・・・・ねぇ、」
「・・・はい、」
「俺とエッチするの・・・・気持ちいい?」
「・・・何を・・」
「YESかNOで」
「・・・・・YES」
「うん・・・良かった。俺もすっごく気持ちいい」
私の偽りなき返答にその時ばかりは満足そうににっこりと微笑んだ彼の視線が私を捉えてすぐに画面に戻っていく。
突然何の確認だ?と答えを求めて楽しげに画面に向かう横顔を見つめて待ってしまう。
「で、・・・都合のいい解釈大好きな俺は・・・あのセックスに多少なりとも千麻ちゃんの愛情感じちゃってるわけですよ」
「都合が良すぎーー」
「千麻ちゃん、」
「・・・黙ります」
名前の響きで牽制。
とりあえず聞けと言いたいらしい彼に従いキュッと唇を閉じると視線で『どうぞ』と促した。



