『煩い』と叫ぶようにまだ途中のゲームを放棄して銃を雑に戻し彼を睨んだ。
さらりと揺れ動くことのないグリーンアイを一睨みすると踵を返して適当に歩き始める。
さまざまな音が入り混じった中を苛立ち交じりに歩きぬけて、次のゲームを探すように狭い間隔を抜けていく。
そんな私を慌てるでもなく追って来る彼が騒音に負けじと声をかけてきて。
「ねぇ、無視?」
「・・・・よくここが分かりましたね」
「・・・・愛の力です」
「GPSの力でしょう。愛なんて言葉よく恥ずかしげもなく口にしますね」
フンッ、と鼻を鳴らして彼の探索法を言い当て歩き続ける。
本当はゲームなんて探していない。
ただ彼の存在を意識したくなくてそうしているだけ。
当然彼もそのことに気が付いているからあえて存在強く私を追い詰めるのだ。
「いつもの俺の軽口じゃん?何でそんな過剰反応してるの?」
「してません」
「ほら、視線も合わせられないほどじゃない」
「・・・・・・・してません」
言われた言葉にようやく立ち止まると彼を振り返りまっすぐに見上げた。
挑むように言葉を返せば彼の嫌味な微笑みが返される。
「やっと対等に話ができる?」
「何を話したいっていうんですか?」
「何?何って・・・本気で聞いてる?人を置き去りにして逃げたくせによく言うよ」
驚いたと馬鹿みたいに大きなリアクションで彼が心無い笑みを口元に浮かべ非難して、あっさり【逃げた】と言葉を引用した。
いなくなったではなく【逃げた】と。
言い訳できない言葉の追及。
それでもこの短時間で多少の感情はコントロール可能になっていた。
「理由ですか?理由の解明が欲しいと?」
「ああ、是非ご説明願いたいねぇ。突然大量のメロンパンと旦那をパン屋に残して無言でいなくなった理由を。神隠しにでもあったのかと思ったよ」
「・・・・・簡単です。全部・・・無意味で馬鹿らしくなっただけです」
「何が?」
「このデートの意味も、夫婦の絆とか・・・・、
・・・・・もう1年もない【契約】関係にすべて不必要だって馬鹿馬鹿しくなった。そういえば満足いただけますか?」
自分の少し大きな声が一瞬だけ周りの騒音を上回って、でもすぐに掻き消されて機械音に満ちる。



