当然だ。
平日の午前中からゲームセンターに入り浸っているほうが珍しいのだ。
そして今は何時だろう?と一瞬意識したけれどすぐに忘れるようにゲームに集中する。
携帯の存在はもうだいぶ無視していた。
繰り返し響いたバイブは着信だったりメールだったり、見なくてもわかる宛先表示と記入内容。
だから一つもメールは開かずにカバンの中に入れたままだ。
無心に目の前の架空の敵を撃ち続けて消していく。
それが積み重ねてきた感情のように、一つ一つ壊すように当てて消していく。
そしてそれが得点となって数字が上がるほど、元の自分に戻るようで安心に染まるのだ。
また一つステージクリアの画面になって、今ほどの得点が集計され始める。
その画面の内に小銭を確認しようと財布の中を確認しようと顔を下げた瞬間。
微々たる風と一緒に香る匂いにドキリとした。
下げていてもわかるゲーム機との間にさえぎるように入り込んだ気配。
「・・・・・置き去りにするほどこのゲームがしたかったわけだ。ありえないくらいの高得点だもんね」
賞賛に見せかけた嫌味の声音は刺々しい。
不機嫌を響かせた姿に意を決して顔を上げるとグリーンアイに鋭く非難され、それでも関係ないと再度作り物の銃を握り始める。
そして画面には新たなステージの表示とカウント。
さえぎっている姿が邪魔だと、あえて口にはせずに自分がよけて画面の見える位置に移動する。
そして何事もないかのように新たなステージに集中し始め向かってくる敵を撃ち始めた。
彼といえば威圧的な無言で腕を組んでその場に立ち、私のゲームの進行を確認するように画面を振り返って口を開く。
「この騒音じゃ携帯の意味はなさそうだね」
「・・・・」
「・・・ああ、ほら、撃ち損じたよ」
「・・・・・」
煩い・・・。
「左から来てるよ」
知ってます・・・。
「集中力切れてるんじゃない?無駄撃ち増えてるよ」
誰のせいだと・・・。
「・・・・ねぇ、」
「・・・・・」
ゆっくり鋭いグリーンアイが私に移った。
それも気がつかぬふりでゲーム画面に銃を向けて本来耳障りな騒音に集中する。
「そんなに必死で何を撃ち壊したいの?」
集中力の崩壊。



